こんにちは。今日は6月5日日曜日です。皆様はどうお過ごしでしょうか。
2022年2月24日にウクライナにロシア軍が侵攻を開始して遂に100日を越えました。
戦争は一時首都キーウにロシア軍が迫るまでいきましたが、ウクライナ軍の頑張りによってロシア軍を押し返し西部はウクライナ軍の勢力下になっており、戦力の再編を図ったロシア軍は、現在東部と南部クリミア半島を手中に収め、西側へ侵攻を進める方向で推移していますが、ウクライナ軍も護りを固め反撃を伺っているようです。
果たして今後の戦局はどうなるのか?
西側各国の各種支援とウクライナ軍の頑張りが勝つのか?
それとも自力を出してなりふり構わず攻勢をかけるロシア軍が勝ちを納めるのか?
結果がどうあれ、軍人・民間人の区別無く犠牲者は増え続ける。
しかしお互いどちらも安易に妥協して戦を終わらす事ができなくなるほど血を流し過ぎた。そう簡単にどちらもテーブルに付ける状態では無い。
どちらかが決定的な戦果を上げ続けるまで戦は終わらない。
戦争は始めるのは簡単だが終わらせるのは難しい。
「早く戦争が終われ」と望みながらもそこに至るには大量の血が流れなければいけないという現実を思うと鬱になりそうな気分になる・・・
閑話休題
それでは本の紹介へと参りましょうか。
本日紹介する作品は、当ブログお馴染みの時代小説作家である上田秀人さんの新シリーズ作品、隠密鑑定秘禄(一)退き口 です。
いつも通りあらすじ紹介から行くのでよろしくお願いします。
【 あらすじ 】
時は江戸後期、天明6年、第十代将軍徳川家治が没し、江戸城西の丸より徳川家斉が十一代将軍として江戸城本丸に入城した。
家斉はその際歴代将軍しか入室を許されない「御用の間」に案内されるとそこに残されていた歴代将軍の遺物を興味深く眺めていたが、そこで五大将軍・綱吉公の残した「土芥寇讎記」なる奇妙な書を発見する。
家斉はその書を手に取り何気なく書を開いて書かれている内容に驚愕する。
「水戸光圀公は女にだらしなく酒乱…?」
そこには全国の譜代外様大名の区別なく、各藩の大名の性格・気性・瑕疵・能力などが事細かに記されていたのだ。
綱吉公は隠密裏に各大名の事を事細かく調べ上げそれを基に有用な人材を登用し将軍親政を行っていたのだ。
「自分も綱吉公を見習い各大名の詳細を調べ上げ有用な人材を登用し親政を行なうことで衰えつつある幕府を立て直したい」と決心した家斉は、早速誰かにこの役目を任せたいと思うのだが、伊賀・甲賀からは忍びの気概は薄れ、御庭番は老中の配下となっていて任せられるものがいない。
そこで家斉は御用で他国へも遠出する小人目付からその任に就く者を選ぶ事にした。
側近に調べさせた所、射貫大伍(いぬきだいご)なる者が良いと候補に上げられると、側近に大伍と接触させ、ある難題を遂行すれば秘密の役に付け優遇すると約束した家斉。
しかしその難題とは正に命掛けの難題だった。果たして射貫大伍(いぬきだいご)の運命や如何に?
【 解説 】
①本作品の著者は人気時代作家の上田秀人さん。
本作の著者は当ブログでもお馴染みの人気時代作家の上田秀人さん。
1959年大阪府生まれの63歳。2001年42歳の時『竜門の衛』で作家としてメジャーデビュー。以後歯科医をやりながらの兼業作家となった。
2009年、宝島社出版の「この文庫書き下ろし小説がすごい。時代小説愛好会が選ぶベストシリーズ20」に「奥右筆秘帳」シリーズが第一位を取る。
2010年「孤闘立花宗茂」で中山義秀文学賞を受賞。
2014年「奥右筆秘帳」シリーズで第3回歴代時代作家クラブ賞受賞。
2013年より自身の経営していた歯科医院を休業し作家業に専念しています。
②本作は上田秀人さんの新たな長編時代小説シリーズの初巻!
本作は上田秀人による新たな長編時代小説シリーズの初巻です。
本作は江戸後期、第十一代将軍・徳川家斉の治世が舞台。
徳川家斉と言えば第十代将軍徳川家治の世嗣である徳川家基の急死により一橋家より将軍家治が養子として貰い受けられた方。
家治亡き後の天明七年、15歳で将軍として江戸城本丸に入った時からこの物語は始まります。
中学高校の歴史の授業で習った、老中田沼意次の治世から松平定信の治世に移り変わる時。ようはこれから「寛政の改革」が実施されようという時。
そんな将軍が代替わりした直後の混沌とした中で始まる。将軍勅任の隠密の活躍を描いた本作。なかなか面白そうじゃありませんか。
【 感想 】
いやー上田秀人さんの長編歴史時代小説シリーズに新たな物語が始まった。
時は第十一第将軍徳川家斉が誕生した直後。
若き将軍徳川家斉は歴代将軍しか入れない御用の間で、五代将軍徳川家綱の頃、本人が書き置いた「土芥寇讎記」なる書を発見する。
「土芥寇讎記」は、家綱は忍びの者に譜代外様の区別無く、各大名の個人情報を取ってこさせ、彼らの人事公課表として作られていた書だった。
そして徳川家綱はそれを基に優秀な大名を抜擢する制度を作り抜擢し親政を行っていたという。
その事を知った徳川家斉は、自身も有能な部下を抜擢して親政を行い、衰退していくばかりの江戸幕府の立て直しを測ろうと考えるのだが、それに巻き込まれた小人目付の射貫大伍(いぬきだいご)は、江戸城内の権力闘争にの渦に巻き込まれて行くというお話です。
果たして将軍親政は行えるのか?居抜き大伍の運命や如何に?と言うお話です。
本作は、上田秀人の時代小説の典型で、江戸幕府開設以来、相も変わらず江戸城内では権力争いが勃発している。そこに第十一代将軍・徳川家斉が将軍親政を狙ってある計画を内々に進めようとする。しかしそれを拒みたいのが将軍に成れなかった男・松平定信という構図が起こりそう。まあ面白いけどね。
今巻は起承転結の「起」の始まりといった所。それでも主人公の射抜大伍には難しいミッションが与えられるなど始まりの書としては充分おもしろい内容でつかみはOK!
これから始まるであろう陰湿な(決めつけすぎだが・・)松平定信の攻撃をどう徳川家斉や射抜大伍が受け反撃するか?物語が続けば登場するキャラクターは加速度的に増えていき、状況はより混沌としていくのであろう。主人公たる小人目付の射抜大伍にも敵が次々襲来していくだろう。あー面白そう。早く続きが読みたい!
ということで本日はここまで!じゃあまたね!
※当ブログ記事には、ばななさん、yoseiさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。