世の中はゴールデンウィーク真っ只中。皆さんはどうお過ごしでしょうか?

 

はい、自分ですか?もちろん期間中は、貯まっていて読めていなかった本やWeb小説を読みまくりの予定です。

 

で、昨日、本屋へ行ってぶらぶらしていましたら文庫本のコーナーにあった本の表紙に宝塚歌劇団雪組の公演の写真があってびっくり!

 

その作品は自分の大好きな時代小説の先生の作品。

 

もちろん作品自体も大好きな作品だったので本日はこの作品を紹介しようと思います。

で、当の作品なんですがそれは、山手樹一郎さんの人情時代小説作品、

『夢介千両みやげ』です。

 

 

それではいつも通りあらすじ紹介から行きますのでよろしくお願いします。

 

【 あらすじ 】

 

時は江戸時代。東海道を東に向かって歩む夢介は、小田原の豪農の跡取り息子。

父親から「千両用意したから江戸で道楽修行をしてこい」と宿題を与えられ送りだされた夢介は力は強いが底抜けのお人好し。

 

そんな夢介の重そうな懐に目を付けた名うての美女道中師・お銀は「誰かが自分の跡をついてきて怖い」、と夢介に言い寄り同宿に成功。ぐうぐう眠りこけている夢介の懐から大金の詰まった財布を抜き出すと、宿からこっそり抜け出したのだが・・・

 

【 解説 】

 

①本作の著者は時代小説作家の山手樹一郎さん。

 

本作の著者は時代小説作家の山手樹一郎さん。明治32年栃木県生まれ。

出版社の社員(後に編集長)に勤める傍ら昭和7年頃から兼業作家になり昭和14年より専業作家になる。翌年より新聞に連載を開始した「桃太郎侍」で人気を得て一躍人気時代作家に。1944年、「獄中記」「檻送記」「蟄居記」の三部作(のち『華山と長英』)で第4回野間文芸奨励賞を受賞。以後一貫として「明朗壮快、勧善懲悪、人情話、ハッピーエンド」な作風の時代小説作品を発表し続けた、自分も大好きな、時代小説の大御所作家さんです。

 

 

②本作『夢介千両みやげ』は宝塚歌劇団雪組にて公演されることになりました。

 

 

本作『夢介千両みやげ』は宝塚歌劇団雪組にて公演されることになりました。

 

この舞台は東京宝塚劇場にて2022年5月7日(土)〜6月12日(日)の期間公演予定。

現在一般販売にてチケットが売り出されています。

 

 

 

【 感想 】

 

本作『夢介千両みやげ』が宝塚歌劇団雪組で公演されると知った時、自分は「くぅー山手樹一郎先生のこの作品をチョイスするなんてセンス良い」「でもこの作品知っている人って絶対いいお年の人だよなぁ渋すぎる」「でもコレで山手樹一郎先生の作品に光が当たるなら嬉しいなぁ」でした。

 

なにしろ山手先生の作品群って1940~1960年代に発表された作品だし平成生まれの若い人なんてまず知るよしもないですからね。そら当然。

 

そんな作品が平成生まれの若いお嬢さん方が演じる。なんとも興味深いものがあります。演じる役者さんもお題を聞いた時、何この作品?聞いたこと無い?と思ったかもしれませんが、台本を読んで、また原作本を読んでみて、この作品の素晴らしさ、面白さを知ってくれたんじゃないかと思います。

 

自分なんかは山手樹一郎先生の作品を何処かの放送局でドラマ化してくれないかな?なんて常々思っています。NHKさん辺りどうですか?何しろ時代小説は現代劇と違っていつドラマ化しても古くならない。最初から古い時代の設定のお話ですもの。

まあ昨今時代劇のドラマ化は面倒で予算もかかるので造られない傾向にありますが是非山手樹一郎先生の「明朗壮快、勧善懲悪、人情話、ハッピーエンド」な作品を映像で見てみたいですね。

 

おっと作品の感想から逸れてしまいましたので、戻るとして本作『夢介千両みやげ』ですが、豪農の父親から千両(※1両10万円換算だとして1億円)を手渡され道楽修業に出された跡取り息子の夢介が江戸に行き江戸ぐらしを始め様々な騒動に巻き込まれながらも、その爽やかで慈愛に満ちた人柄の良さで彼の懐の大金に寄ってきた悪党どもをいつしか改心させ関わった女性は惚れさせるという、快男児の活躍話です。

 

それにしても千両を息子に与えて道楽修業に出す親って!この親もすごいですね。この親ありきで息子在りを体現している様な大人物が主人公の夢介です。

 

で、話戻って、鷹揚で懐が深い主人公の人柄に触れた最初の人物が、彼の懐の金を狙って近づいて来た美女道中師・お銀さん。浮世の辛酸も舐めてちょっとスレた感じの彼女も、彼のトボけた温かさ、優しさ、爽やかさ、きっぷの良さに心揺さぶられてしまいベタ惚れに。そして勝ち気で一途な彼女は、彼の押しかけ女房的立場になって一緒に住み始める。しかし一緒に住み始めたのに彼は一向に自分に手を出してくれない。しかもトラブルメーカーでおせっかい焼きの夢介はあっちでもこっちでも騒動に手を突っ込んでは自分を心配させ、さらに事件で遭遇した別の女にも優しく接して好意をもたれるのでやきもき!やきもき!そんな彼女のいじらしさについ頬が緩み、また主人公夢介の大物っぷりと爽やかさに好感が湧き出す。

そしてそんな主人公の人柄に触れた「悪」達もいつしか心変わりして改心してゆく・・・ 

 

そんなハッピーエンドな作品を読み進めると時間も忘れてあっという間に読み終わる。そして読後にほっこり胸が温かくなりいい気分。

山手文学の真骨頂。それを体現する作品群の中の一冊が本作。

 

なので、まだ山手樹一郎先生の作品に触れたことが無い方は是非手に取ってほしいお勧めの一冊です。