14日、ウクライナ南部の黒海に展開していたロシア海軍黒海艦隊の旗艦であったスラヴァ級ミサイル巡洋艦の「モスクワ」がウクライナ軍の地対艦ミサイル攻撃に合い沈没したとのニュースが入ってきた。モスクワの沈没はロシア側も認めているので確定事項の様だ。

 

コレは3月24日、同じくロシア海軍の揚陸艦を沈めた事についでのウクライナ側の大金星。というかロシア軍、陸軍は一時首都キーウを取り囲むまでいったのにウクライナ側の抵抗と反撃で潰走。相当数の車両と人員を喪い。現在全土の占領から、軍を再編成して東部と南部、クリミア半島の確保に方針転換の模様。空では少なからずの戦闘機やヘリコプターを喪い、海では海軍の船を次々失っている。

 

もちろんウクライナ側も多大の損害と人員を失っているが、ロシア側も思っていた以上に脆弱。精強だと思われていたロシア軍がここまで脆いとは・・・初めは1週間程度で勝利する予定のプーチンさんは頭を抱えているだろう。

 

そんな長引く泥沼の戦いで前線の兵士の精神も壊れ、取り残された市民に対する略奪暴行虐殺行為の被害が多数報告されている。戦場の狂気がウクライナの地で拡がっている。

それに対して国連は無力で、世界はロシアへの非難声明を上げることしか出来ていない。この現実と、そんな行為を黙認する国家が隣国であることをあらためて認識すべきだと思う・・・

 

閑話休題

 

はいそれではいつも通り本の紹介へと行きましょう。

本日紹介する作品は、ミステリー分野から中山七里さんの警察(検察)小説である、『能面検事の奮迅』です。

いつも通りあらすじ紹介から行くのでよろしくお願いします。

 

 

【 あらすじ 】

 

学校法人荻山学園に対する大阪・岸和田の国有地払い下げに関し、近畿財務局職員の収賄疑惑が持ち上がり、大阪地検特捜部が捜査を開始した。

 

ところがその後特捜部内の担当検事による決裁文書改竄疑惑が浮上しその事がマスコミに報道されてしまった事で大阪地検の評判は地に落ちた。

 

そんな事態に最高検は特別調査チームを大阪地検に派遣し件の担当検事を取り調べることに。

 

そんな事態に危機感を持った大阪地検上層部は大阪地検のエースで「能面」とあだ名される一級検事の不破俊太郎を最高検調査チームに送り込んだ。

 

検察事務官の惣領美晴をお供に件の調査に乗り出した不破は事件の真相にたどり着けるのか?

 

 

【 解説 】

 

①この作品の著者は人気ミステリー作家の中山七里さん。

 

本作の著者は人気ミステリー作家の中山七里さん。1961年岐阜県生まれの61歳。

2010年『さよならドビュッシー』にて第8回このミステリーがすごい大賞受賞でメジャーデビュー。明るく爽やかな音楽ミステリーという新しい作風の作品を生み出した。

以後もホラーミステリー、警察(検察)小説、リーガルミステリー、社会派ミステリー、コージーミステリーなど様々な作風のミステリー小説を多数提供する売れっ子ミステリー作家さんです。

 

②本作は『能面検事』シリーズの第二弾!

 

本作は『顔色を変えない。空気を読まない。忖度しない。出世争いに無頓着。』な大阪地検の堅物検事・不破俊太郎の活躍を描いた警察(検察)小説シリーズの第二弾です。

 

 

【 感想 】

 

本作は2017年2月に報道が開始された学校法人「森友学園」に大阪豊中市の国有地が現地付近の相場価格より異常に低い価格で売却されていた事を発端とした事件。いわゆる『森友学園問題』に関する、財務省及び傘下の近畿財務局が森友学園への土地売却に関する公文書を改竄・削除・廃棄していた部分をモチーフに描かれたと思われる警察(検察)小説です。

 

本作では学校法人荻山学園が新年度に開校を予定していた小学校の用地として大阪岸和田の国有地を購入したのだが購入価格が評価額の四割にも満たない価格で売却されていた事から国有地売却を担当する近畿財務局管財部の国有財産調整官が荻山学園側から不正な利益供与があったのではないか?更にこの土地取引きには与党の大物議員が不正に関与していたのではないか?という疑惑を、大阪地検特捜部が捜査に乗り出した事から始まります。

 

当シリーズの主人公不破俊太郎も地検の次席検事の榊(上司)から特捜部への参加を誘われますが不破は現在抱えている案件が多数あるのでと固辞。

 

その直後、地検特捜部の主任検事であった高峰検事が証拠物件として押収された近畿財務局の決算文書を改竄していた事が判明。大阪地検は世間より強いバッシングの嵐を受けることになった。

 

このことで「検察」の名誉と信頼の喪失することを恐れた最高検察庁より特別捜査チームが編成されくだんの件を捜査する為に大阪地検に送り込まれてきた。

 

しかし大阪地検特捜部の担当検事である高峰検事は取り調べの場で押し黙るばかり。また近畿財務局の国有財産調整官の安田啓輔も口を開かない。捜査が進まぬ中、榊次席検事より特別調査チームに入る様に指示された不破俊太郎は高峰と安田が以前より面識がある間柄ではないのか?との疑念の元、彼らの過去を丁寧に洗っていくというお話です。

 

新米検事時代に犯した失態により犠牲者を出してしまった過去の贖罪の為、取り調べにおいては「もう情に流され顔色を変えない」と誓い、ただひたすら真っすぐ謹厳実直な検事の道を貫く事を誓った主人公の覚悟の強さは相変わらず。

 

そしてそんな不破を引き立てるキャラクターとして彼とは対照的に情や周りの評価に流され熱したり冷めたり心揺れ動き迷う検察事務官の惣領美晴の存在はベタな存在だが効果的な引き立て訳となっています。

 

更に今作では最高検の特別調査チームに『さよならドビュッシー』の主人公・岬洋介の父で検事正の岬恭平もゲスト出演。地味にいい仕事をしてくれています。

 

そして事件の真相は不破が見つけたあるものから急展開。中山七里お得意の『どんでん返し』的な展開による結末で満足。

 

これこそ中山七里のミステリー小説!

 

ということでなかなかおもしろく仕上がったミステリー作品なので何処かで見かけたら是非一読することをお勧めします。

 

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはかずなり777さん、恵藤さんの写真素材が写真ACを通じて提供されています。