今日は北京の冬季オリンピックの閉会式の日。

いろいろ不可解な事が合ったこのオリンピックでしたが遂に終了。日本選手団の皆様も頑張ってメダルをたくさん取って感動をくれました。

 

しかし北京オリンピック開催中のその裏で、東欧ウクライナとロシアの関係が悪化!ウクライナ国境周辺に軍の大部隊を集結させたロシアはウクライナのNATO加盟方針の撤回を要求!要求が認められなければウクライナ侵攻を企むかの様子を見せています。それに対して欧米はロシアに対して非難声明を出し事態の沈静化を求めロシアを説得しようとしていますが成功していません。

 

ロシアは部隊の撤収を宣言していますが、ウクライナの親ロシア地域ではロシア側の発表によると「ウクライナによるテロ行為が行われている」と侵攻の理由付けとも思われる破壊行為が行われていますし、ウクライナの政府機関や銀行に対するサイバー攻撃も発生するなど現地は不穏な状況です。

戦争が起きなければよいのですが・・・

 

閑話休題

 

さあ本日も本の紹介へと行こうと思います。

本日は時代小説から、上田秀人 さんの長編時代小説シリーズである「百万石の留守居役」から第十七巻で最終巻・「要訣」を紹介したいと思います。

それではいつも通リあらすじ紹介から行くとします。

 

 

【 あらすじ 】

 

加賀から江戸に参って将軍綱吉に謁見した加賀藩宿老である本多政長の打ち手が成功し江戸では将軍綱吉の信任を勝ち得て、加賀では後継ぎである政敏の藩内の地歩を固めることに成功した。しかし今度は加賀前田家の宿老たる本多家との縁を得たい徳川御三家である紀伊徳川家の当主徳川光貞が本多政長の娘で留守居役瀬能数馬の妻・琴に目を付けた。琴を自身の女にすべく陰謀を巡らす徳川光貞!琴の元に急行する数馬!逆襲の一手を巡らす本多政長!果たして危難に襲われた琴の命運は?・・・

 

 

【 解説 】

 

①本シリーズの著者は時代小説作家さんの上田秀人さん

 

本シリーズの著者は時代小説作家の上田秀人さん。1959年大阪生まれの63歳

2001年刊行した『竜門の衛』でメジャーデビュー。

本業は歯科医さんで作家として二足のわらじを履いている作家さんです。(※2013年歯科医を休業。現在は作家に専念しています。)

2010年「孤闘 立花宗茂」で中山義秀文学賞受賞。『奥右筆秘帳』シリーズで第3回歴史時代作家クラブ賞受賞。

短編、長編(シリーズものも含む)の時代小説ジャンルの作品を多数刊行する人気時代小説作家さんです。

 

②「百万石の留守居役」シリーズとは?

 

「百万石の留守居役」シリーズは上田秀人さんの長編時代小説シリーズの一つ。

 

時は江戸時代初期四代将軍徳川家綱治世の末期。江戸城の実権を握る大老酒井忠清(ただきよ)は、なんと外様大名の加賀藩主前田綱紀(つなのり)を、次期将軍に擁立しようと前田家に打診を持ちかけた。外様潰しの策略か、親藩入りの好機か。藩内は二派に別れ真っ二つ。そんな中、曲者に襲撃された重臣前田直作(なおなり)を助けた若き藩士瀬能数馬(せのうかずま)の行動を見て取った加賀前田家の家老本多政長(ほんだまさなが)は、瀬能数馬を自分の娘である琴と結婚させ加賀前田家と本多家に有用な臣とすべく、留守居役にして江戸に派遣することにするのだが・・・果たして数馬は藩の外交役である留守居役を無事を勤め上げることができるのか?果たして数馬の運命は?・・・というストーリーから始まった長編時代小説の物語です。

 

第一巻の刊行は2013年11月。今回紹介する最終巻である第十七巻は2021年6月に刊行されました。(7年7ヶ月)

 

③留守居役ってどんな役職?

 

留守居役とは大名家の「外交官」といった役で、大名家が幕府から命じられる「お手伝い普請」の回避、大名家の結婚の問い合わせや事前交渉、藩同士で起きたトラブル解決の交渉などを行う役職です。彼ら留守居役が上手く段取りを行わないと藩の不利益が拡大してしまう重要な役ですが、彼らは藩の予算からかなりの金額を交際費として使い接待を行い合う金食い虫の存在で、藩内家臣から妬まれ羨ましがられる存在でもありました。

 

 

【 感想 】

 

◎通常巻ならこれで良いが、シリーズ最終巻としてはいまいちな終わりかたが残念!

 

本巻第十七巻を持って7年7ヶ月に渡って続いた「百万石の留守居役」シリーズも遂に完結致しました。

 

本シリーズは、江戸時代、四代将軍徳川家綱の命が潰えようとする中、後継ぎのいない家綱の後継に江戸城の実権を握る大老酒井忠清(ただきよ)が外様大名の加賀藩主前田綱紀(つなのり)を、次期将軍に擁立しようと前田家に打診を持ちかける所から始まりました。

 前田家には二代将軍秀忠の娘である珠姫が嫁いでいて藩主綱紀には徳川家の血が流れていました。しかし徳川御三家や親藩からではなく何故外様大名の前田家に打診が?

 大老酒井の提案に藩内は「外様大名の前田家潰しの策略」「前田家が徳川親藩になるチャンス」の2つの論で真っ二つに。

 そんな中、前田家重臣の重臣前田直作(なおなり)が曲者に襲撃され、その現場に遭遇し直作を助けたのが高禄ながら藩内で孤立していた瀬能数馬だった。

そんな愚直ながら光るものを持った瀬能数馬に目をつけた前田家家老本多政長は彼を自身の娘「琴」との縁組させ本多政長と縁を結び、藩を支える忠臣に育てる為、数馬を留守居役に抜擢し江戸に送り出すというのがシリーズの始まりです。

 

本作は上田作品の定番の展開である将軍、幕府老中、他藩から恨み、出世、利益を元にして仕掛けられる陰謀を、主人公とその上司、協力者達が知恵と武勇によって叩き潰していくというお話(策謀劇)です。

 

16巻に渡って前田家に仕掛けられた数々の陰謀は、主人公の瀬能数馬と彼の後見役で義父の前田家家老本多政長の策略によりすべて潰してきましたが、17巻では、主人公の瀬能数馬の妻で本多政長の娘「琴」に目を付けた「ラスボス」こと徳川御三家紀伊家当主徳川光貞登場!御三家当主であるという放漫さから「琴」を手に入れるべく陰謀を巡らせる徳川光貞の陰謀を数馬と政長の義父&義息子コンビが叩き潰すという所で本シリーズは終了。

 

正直「えっこれで終わり?」という呆気ない終わり方。若年にもかかわらず留守居役に抜擢された主人公の瀬能数馬の留守居役として成長した姿も見られず。加賀前田家家老本多政長とその娘「琴」の老練さ聡明さばかりが強調されて終わった感があって、ちょっと不満を感じました。

 

本シリーズも含め、近年の上田秀人さんの長編シリーズの物語の締め方がちょっと悪くなってきた様に感じられるのが少々残念!

 

なので物語の完結巻としてはもやもや感が残って手放しでおすすめしたい巻ではありませんが、主人公側が敵側の策謀を知恵と武勇でぶち壊す一巻のお話としてはまずまず面白いので、本巻とシリーズ既刊を読まれる事をおすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはcocoancoさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。