政府は、2月10日、政府は新型コロナウィルス感染症の新規感染者数がまだ多く医療機関への逼迫の懸念が拭い去れないことから東京など13都県のまん延防止等重点措置を3月6日まで延長するとともに、新たに高知県にも2月12日から3月6日まで重点措置を適用することを決めました。

昨年末までは概ね収まっていた新型コロナウィルス感染症ですが年明けを皮切りに一気に増加に転じ、あっという間に全国で再拡大。全国の一日当たりの新規感染者総数も10万人近くまでになってしまいました。

感染力の高い感染症が蔓延しだすと「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」でちょっと油断するとあっという間に元の木阿弥になってしまうのがよく判ります。

かといってずっと人流を滞らせて経済活動を低迷させるのも悪手。昨年第四四半期で感染者数が減ってきたので蔓延防止措置の解除に踏み切った政府を攻めることもできなかったと思います。この匙加減が本当に難しい。政府には今後とも感染拡大と経済復興のバランスを取りながら上手く舵取りをお願いしたいですね。

 

閑話休題

 

それではいつも通リ本の紹介へと行きますが、今日紹介する作品は某国で作られた凶悪なバイオ兵器(細菌兵器・感染症ウィルス)が日本で拡散される危機に海上保安庁&警視庁が当たる危機管理小説?パンデミック小説です。

その本の名は、吉川 英梨 著 『感染捜査』です。

いつもの通リあらすじ紹介から行きますのでよろしくお願いします。

 

 

【 あらすじ 】

東京五輪を間近に控える東京のお台場のレストランと東京湾上の豪華客船内で新種のウイルス感染症が同時発生。感染者は人を喰らうゾンビ化をして感染者を増やす。海上での違法薬物取引と不審な海保潜水士の事故死の謎を追っていた警視庁湾岸署の跳ねっ返りの女刑事・天城由羽は偶然この一件に巻き込まれ海保と警視庁合同の感染者封じ込め対策班に抜擢されるのだが・・・感染者は「生者」なのか「死者」なのか?法的曖昧さを残したまま豪華客船に乗り込む感染者封じ込め班。感染者を撃ち生存者を守るべきか、感染者の人権を守るべきか?現場の対処任せにして責任回避を図る政府。修羅場とかす豪華客船内部。果たして未感染者の救助と感染者の封じ込めは成功するのか?- ゾンビ×海保×警察パンデミックアクションノベル開幕!

 

 

【 解説 】

 

①この本の著者は吉川英梨さん。

この本の著者は吉川英梨さん。1977年埼玉県生まれ

大妻女子大学短期大学部日本文学部卒業出版社勤務の傍ら、シナリオ・センターにて脚本を学び、テレビ・映画などの企画に参加執筆活動に勤しむ。

2008年『私の結婚に関する予言38』でメジャーデビュー。第3回日本ラブストーリー大賞エンターテイメント特別賞受賞。恋愛小説デビューでありながら作品の殆どがミステリー、警察小説の刊行が主な作家さんです。

 

②本作はパンデミック+警察小説+ゾンビホラーアクションもの

 

本作は日本に持ち込まれた感染者から噛まれて感染するとゾンビとなって人を喰らう狂犬病由来の生物兵器(biological weapon)が地上の施設、豪華客船内で拡散されたことから、海上保安庁&警視庁の合同対処部隊が逃げ遅れた生者の救出と感染症の封じ込めに対処するパンデミックアクション小説です。

 

 

【 感想 】

 

◎パンデミック小説+ミステリー+ゾンビホラーでドキドキ感増し増し!

 

本作は新型コロナウィルス感染症が中国武漢にて確認された2019年12月からおよそ18ヶ月後。船内で新型コロナウィルス感染症のクラスターが発生した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜に入港した2020年2月からおよそ16ヶ月経過した2021年5月25日刊行された作品です。

 

日本国中が新型コロナウィルス感染症の感染症の猛威の真っ只中だった時期に描かれたパンデミック小説。つまり時流に乗ったキャッチーなお題の作品であったと思います。

 

ただ本作はただの凶悪な感染症が広がるパンデミック小説とすること無く、件の感染症に感染すると感染者がゾンビ化して人々に襲いかかり喰らい噛みつかれた人がゾンビ化して増殖するというゾンビ映画、ゲームの要素を追加してより感染への恐怖感・切迫感・ドキドキ感を増すことに成功しています。

 

そして感染者がゾンビ化することによって頭部を破壊されない限り人を襲うことを辞めないという状況を作り出し、ゾンビ化した感染者に襲われた海上保安官&警察官はゾンビ化した感染者を密室に閉じ込めるか、武器を使用して頭部を破壊し殺すかしないといけません。しかしゾンビ化した感染者を殺すと「感染者は生者であるので射殺するのは殺人である」という事で「殺人者扱い」になってしまうという現行法での制約追加されます。また心理的には「ゾンビ化したとはいえ元同僚や一般市民を攻撃することを躊躇う」という心理的逃避状況を作り出すことで生者の救出と感染者の制圧・隔離がより難しくなるという状況を作り出しているのがとても面白かったです。

 

本作を読んでみると著者は女性作家ながら事前の調査をしっかり行い、警察や海上保安庁の組織、装備、政治や官僚の仕組みシステム法律などをしっかり勉強し執筆されているんだなぁと感心させられました。

 ですが、政府&官僚が法的根拠を示さず責任のみを現場の隊員に押し付け現実無視の無茶振りを命じるという「無責任な政治家と官僚」というありがちな設定で話を作っている事や「5.56mmNATO弾を使う89式小銃より、より威力がある9mmパラベラム弾を使うMP5短機関銃に切り替え・・・」とかのちょこちょこ誤った認識を元に描かれた描写がありちょっと残念な点もありますね。

それでも、跳ねっ返りの男勝りな女性主人公のキャラクターの魅力的なヒロイン力!「未知の感染症の拡大を防げ!」というパンデミック小説要素と、「感染症の出処は何なのか?」という謎を追うミステリー&警察小説要素、「感染症でゾンビ化して人を襲い感染者を増大していく」ゾンビホラー&迫真のアクション要素が混ざってドキドキ感3割り増しの快作だと思えました。

 

ということで新型コロナウィルス感染症の新規感染者が増加している今、読むのに最適なミステリーアクション小説。何処かでお見かけしたら是非手に取って読んでみてください。おすすめです!

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはniiさんカネコさんぷくりゃすずめさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。