本日は、私のコロナワクチン接種2回目の日。

 

コレが済めば我が家の家族全員が2回目のワクチン接種を終えた事になります。

 

コレでもし新型コロナウィルス感染症に罹患しても重症化を防げる確率が高まるというもの・・・そうあくまで高まるというだけ。

 

ましてや新型コロナウィルス感染症に罹らないわけじゃない。

 

そこのところが判ってなくてワクチン接種を行った人達がカラオケに行って騒いだりするとかの事例が多々ある様で・・・我が家の近所のカラオケ屋の駐車場もほぼ満杯。

 

コレじゃあ、新規感染者も増えるわけだよ。

 

もっとワクチン接種について政府も説明する機会を増やして欲しいですね。

 

閑話休題

 

さて本日も本の紹介へ参りますか。

 

本日紹介する作品は、前回に続いて、佐藤大輔 著 『レッドサンブラッククロス 死戦の太平洋(下)』 で行きたいと思います。

 

 

それではいつもどおりあらすじ紹介から行くとしましょう。

 

【 あらすじ 】

 

1948年12月13日、北米大陸に侵攻を始めたドイツ軍によって始まった第三次世界大戦により、カナダで苦戦する友軍に向けて補給物資を運ぶ任務を受けた補給船団を率いて荒れる北太平洋を進む日英協同対潜護衛戦隊「タイフーン(台風)」。そしてその輸送船団に襲いかかるドイツ海軍潜水艦戦隊「アンヴェター(暴風雨)」。

 ドイツ潜水艦を追う護衛艦達。逃げ惑う補給船団。護衛艦を躱しつつ補給船団に襲いかかるドイツ潜水艦。次々と被雷し沈んでいく船団船。今や補給船団は最大の危機を迎えていた。

「夜明けはまだか?」水平線に光が差し始め夜が白む中、空母の甲板上から発動機の音が鳴り響く。さあ反撃の時だ。果たして補給船団の運命は?

 

 

【 解説 】

 

①本作は故佐藤大輔氏の代表作たる架空戦記シリーズ『レッドサンブラッククロス』シリーズの1エピソード作品。

 

本作は故佐藤大輔氏の代表作たる架空戦記シリーズ『レッドサンブラッククロス』シリーズの1エピソード『死戦の太平洋』上下巻の下巻です。

 

②『レッドサンブラッククロス死線の太平洋』とは?

 

『レッドサンブラッククロス死線の太平洋』とは、別の世界線における西暦1940年代のお話。

 

その世界においては、日露戦争に負けた帝国日本は植民地主義における大陸進出を諦め「貿易立国」「海軍第一主義」に舵を切った。その事で第二次世界大戦日本は欧州で始まった戦に積極的に関わらず欧州への貿易による戦争特需で経済を伸ばし国力を大幅に上げる事に成功した。

 

一方、欧州ではナチス・ドイツが欧州各国に侵攻したちまち欧州各国を席巻。欧州の過半を手に入れ大躍進した。

中立国アメリカはモンロー主義により欧州の戦に介入せず、その事もあり英国は本土をドイツに占領され、英国政府は本土を捨てカナダへ疎開し戦争は終わった・・・

 

それから数年後の1948年、ドイツは突如北米大陸に侵攻!ドイツは米国東岸の重要都市に核ミサイル攻撃を仕掛けアメリカ政府の中枢を破壊することに成功。以後米国東岸を占領するや米国中央部及び南部への侵攻を推し進める。

またカナダにも侵攻したドイツ軍は日英両軍を撃破しつつ西進!危機に陥った友軍を救う為、大規模補給船団を組んだ日英同盟軍は7隻の護衛艦を付け日本からカナダ西岸に向け出発させた。

 しかし補給船団の出発を探知したドイツ軍は太平洋で活動中の全潜水艦を補給船団撃破に向かわせた。攻めるドイツ潜水艦戦隊と護る日英護衛艦隊の死闘!果たして結末や否や?というお話です。

 

 

【 感想 】

 

今巻は前巻において補給船団に襲いかかったドイツ潜水艦戦隊と迎撃に向かう日英護衛艦隊のその後を描いた後編です。補給船団を襲うドイツ潜水艦戦隊の襲撃。逃げ惑うしかない補給船団。損害が出つつも必死に補給船団を護ろうと奮闘する日英護衛戦隊の死闘を群像劇的に描いています。

 

物語は、各章毎に、

・補給船団に襲いかかるドイツ潜水艦の艦長達の心情とその結果に下される行動。

・補給船団を護る為必死にドイツ潜水艦を追う日英の護衛艦の艦長と乗員の心理状態とその結果下される行動。

・ドイツ潜水艦の襲撃にただひたすら逃げ惑うしかない補給船団の船の艦長の心理状態と行動。

の各場面が描かれていて、陣営の違いや立場によって取る行動や心情の違い、葛藤を詳細に表現されています。(※他にも銃後の日本、ドイツ本国、北米の戦場の片隅でのエピソードも挿入されています。)

 

そこには戦場という舞台に立ってしまった役者達(各キャラクター)の心に浮かぶ「功名心」「義務感」「危機感」「怒り」「動揺」「絶望感」「焦燥感」「狂気」といったメンタルな部分とそれによって決断された行動とその結果が相乱れています。

 

そして戦場という舞台で望んでもいない結果を強いられた彼らに起きる数々の悲劇と後悔の想いは読者の胸を締め付けます。

 

特に自分が何回読んでも目尻が濡れてしまうエピソードが、『ドイツ潜水艦の猛攻に次々沈む補給船団の船。上空を飛ぶ護衛空母の対潜哨戒機。ドイツ潜水艦の魚雷が一隻の補給船に向かうのを発見した対潜哨戒機の乗員。しかし対潜哨戒機には魚雷を阻止する攻撃手段が無い。狙われた船に回避の警告をする対潜哨戒機の乗員。しかし動きの遅い輸送船に魚雷が迫る。何事か阿吽の呼吸で決心した対潜哨戒機の機長と乗員は覚悟を決め急降下。そして魚雷は破壊され輸送船は助かった。』というもの。

 

その時の会話

「またやられた」「まだやられます」「なんですって」「おそらく一本。ほんのちらりと磁探に反応しました。第五列の後方に向かっています」「方位はわかりますか」「ドック1より宝洋丸。」「宝洋丸受信」「貴船右舷前方より敵魚雷接近中。ただちに回避されたい。当方は右舷ーうーん三○度方向への方針を勧める」「三○度?魚雷と真正面からぶつかるのか?」「追尾魚雷の場合、船体が航走音を消すかもしれない」「かもしれない、か。畜生。ドッグ1ありがとう」「無理だろうな」「そう思いますか?」「そりゃそうでしょ。魚雷はそっちから見えているんですか?」「わたしからは見えていますよ。みつけましたよ」「でしょうね」「ねえ塩山さん」「なんスか飛行長?」「あの魚雷停める方法は一つしかないと思うんだけれど、どうかなぁ?それにわたしたちは今日、どうも俸給分の仕事はしてないと思うんですよ」「えーやっぱり?」「うん、あなたもそう考えていたでしょう?」「嫌だなぁ。付き合いが長くなると」「付き合って貰えるかな?」「そりゃ。いまさら仲間はずれにされても困ります」「それに飛行長、自分はいちど九九で急降下をしてみたいと思っていたんです。だとするなら、釣れるのが外道でも仕方ありませんや」「悪いね」「ドッグ1より宝洋丸」「宝洋丸受信。こっちは忙しい」「わかってます。お邪魔して悪いけれど、そっちの面倒をちょっとはぶいてさしあげようかと思いましてね」「どうやってだ?」「どんなものでもぶつけりゃ壊れるから」「なにをー、おいドッグ1正気か」「まあ、仕事ですからね」「他に手はないのか?」「そちらは100人こちらは二人、なんてことはありません。皆さんによろしく。さよなら!」水柱は思いのほか小さなものだった。「本船には100人も乗り組んじゃおらんのだ。馬鹿野郎が」

 

もうこの下りを読むといつも目尻が濡れてしまって・・・

 

この対潜哨戒機の機長と乗員は、自分達の目の前で次々魚雷攻撃を受け沈んでいく補給船を見て、過度の「焦燥感」「義務感」「申し訳無さ」の綯い交ぜになった心情に襲われ、狂気の行動をとってしまうんです。

 

この戦場という狂気が氾濫する舞台上では人は冷静でいるのは難しい様が良く現れているエピソードだと思います。

 

そして物語の終わり間際、護衛艦の一乗組員の勘違いから起きる悲劇という「どんでん返し」エピソードは、「世の中とはままならないもの」という事を提示していて、「自身の書く物語をほぼすべてきちんと終わらせることなく、筆も遅いのでいつまでも続巻が出るのを読者に強いる曲者の著者が、どれだけひねくれているか」を表している様でならない。

まあ、そんな曲者の書く著者の作品を信者はいつまでも待つのだが・・・でもさすがにあの世に行った著者の続編はもう読めないもの。なので信者は既刊を繰り返し読みふけってしまいます。

 

ということで、この「戦場」という舞台で起こる狂気の世界を是非味わってみませんか?心揺さぶられますよ。

 

 

ということで本日はここまで。じゃあまたね。

 

 

※当ブログ記事にはともろうさん、ぶるーさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。