今年の3月11日で、2011年3月11日に起こった東日本大震災から10年が経ちました。

10年前起こったあの震災の様子が録られた動画のインパクトは大きく。忘れることができません。

 

あの震災で起こった津波による東北沿岸部の町々を襲った時のインパクトも大きかかったですけれども、その津波によって起きた福島第一原子力発電所のメルトダウンも原発事故の恐ろしさと被害の大きさを実感させられたということで、コチラもインパクトが大きかったですね。

 

そして事故後10年経過しましたが、事故の在った福島第一原子力発電所の廃炉作業も排出される汚染水の処理問題も手こずっている様に自分は感じ原子力発電の厄介さを実感しています。

 

そして今日の本の紹介は、2011年3月11日に起きた東日本大震災における原発事故をテーマに政・財・官がスクラムを組んで推進してきた原子力業界の内幕をモチーフに描かれている 真山仁 著 ハゲタカ5 シンドローム(上・下) を紹介したいと思います。

 

 

【 あらすじ 】

 

2009年ハゲタカと世間では称される世界的企業買収者・鷲津政彦率いる投資ファンド・サムライキャピタルは、原子力発電所、等を建設するJエナジーの買収を試みるも政・財・官が複雑に絡む電力業界の圧力に負け撤退を余儀なくされた。

その2年後、リベンジを誓う鷲津は、大手電力会社・首都電力を買収すべく行動を開始しようとしたが、その矢先、東北地方を巨大地震と津波が襲い、それにより史上最悪の原発事故が発生した。

官邸サイドは迷走し電力会社上層部は自身の責任回避と原発事故の後始末を政府に肩代わりさせようと動く。

電力業界の政・財・官のスクラムが揺るぐ中、サムライキャピタル率いる鷲津政彦は、経営危機に陥りつつある首都電力の救済者を装い、政府の事故調査委員会の委員長に旧知の芝野建夫を勧めるなど政・財・官のスクラム内に切り込んでいく。

果たして鷲津は首都電力の経営権を奪取できるのか?そして原発事故の後始末の行方は・・・

 

 

【 解説 】

 

①この本の著者は真山仁さん

 

この本の著者は真山仁さん。1987年同志社大学法学部政治学科卒、中部読売新聞社入社。以後記者として活動するが1990年退社フリーライターになると同時に執筆作業を本格に始める。

2003年、生命保険会社の破綻危機を描いた「連鎖破綻ダブルギアリング」にてメジャーデビュー。

2004年、ハゲタカファンドを扱った代表作の「ハゲタカ」を発表。

2012年「コラブティオ」で第2回山田風太郎賞候補、第146回直木賞候補に

2014年「グリード」で第35回吉川英治文学新人賞候補になる

 

経済&ポリティカルフィクション小説を得意とする作家さんです。

 

 

②「ハゲタカ」シリーズとは?

 

真山仁さんの代表作足る「ハゲタカ」シリーズは、経営に問題ある企業を買収し企業の業績を改善した上で株式を売却し利ざやを稼ぐハゲタカファンドの代表・鷲津政彦の買収劇・暗躍を描く経済小説・ポリティカルフィクション作品です。

 

また本作は2007年NHK土曜ドラマ枠にて大森南朋さん主演で、2018年テレビアサヒ木曜ドラマ枠にて綾野剛さん主演でテレビドラマ化されました。

 

 

【 感想 】

 

真山仁さんのハゲタカシリーズ第5弾は、3.11の東日本大震災における原発事故をモチーフに、政・財・官のスクラム体制化の電力業界に切り込む鷲津政彦率いるハゲタカファンドの暗躍模様を迫真ある描写で描いています。

 

原発事故時の責任回避に動く電力会社首脳陣と官邸サイド。ハゲタカファンドに業界を荒らされることを嫌悪しながらも、ハゲタカファンドの資金を経営立て直したい電力会社と官僚達。そして政・財・官のスクラムを崩し、ファンドによる電力会社の経営権奪取を目論む鷲津政彦らサムライキャピタルの面々の、四者入り乱れての暗闘がおもしろい。

今回は10年前に起きた東日本大震災と原発事故の記憶(当時の民主党政権・菅直人首相の対応のまずさや東電首脳部の事故前の備え不足や事故時の対応、放射能汚染による住民の避難・疎開の実施など)を多くの読者が持っていると思われるので、この物語をかなりリアリティーを持って読むことができると思います。

 

そんな経済小説の傑作シリーズの第5弾。あの10年前の記憶と共に是非読まれることをおすすめします。

 

※当ブログ記事にはpoohさん、そげさん、まっきーばっはさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。