政府の新型コロナウィルス対策本部会合の決定に伴い19日から他県への移動自粛解除となりました。

コレでおおよそ国民に対する「自粛」という体の制限が解除されたことになるのですが、感染拡大第二波、第三波を抑えるのには国民の行動次第という事でもあります。

 

わざわざ国に言われなくても考えて行動しなくてはいけない。我が国の民度が試されているのかもしれません。さあ、今後この国がどうなっていくのか?不安を内在しての再スタートです。

 

閑話休題

 

コロナウィルスの感染拡大下での自粛生活で読み始めた大石英司さんの合衆国封鎖シリーズですが、本日は、その四巻目・合衆国消滅(下)紹介しようと思います。

 

それでは、いつも通りあらすじ紹介から行くとしますね。

 

【 あらすじ 】

 

アメリカ合衆国が致死率90%の天然痘ウィルスのバイオテロに襲われて半年。

 

合衆国は、インフラや経済活動の破壊により物資の欠乏による民兵や略奪者のによる暴虐無人の行動による治安の悪化、天然痘ウィルスのみならず各種の感染症の蔓延による死者の増大で人口が激減となり、政府は実質的統治能力を損失し国家としての体をなさない状態までになっていた。

 

ロスアンジェルスやサンフランシスコが民兵や略奪者の横行による治安悪化でアジア各国からの救援物資を陸揚げできない状況になった事から、空路ラスベガスから救援物資を内陸部に供給する案を立てラスベガスに一大補給基地を作る計画を始めた日本政府。

しかし救援物資の分前と差配権を得るためラスベガスに兵を送り込もうと画策する民兵・カリフォルニア軍団。

 その侵攻を概ね防いだものの一部の兵にラスベガス市内への潜入を許してしまった陸自の秘密部隊サイレントコア。

 

果たしてサイレントコアはラスベガスに潜入したカリフォルニア軍団の潜入者の企みを阻止できるのか?

 

一方、民兵との接触で天然痘ウィルスに感染してしまった車椅子の少女・アイリーンの運命や如何に?

 

 

【 解説 】

 

①この作品の著者は大石英司さん。本作は、「合衆国消滅(下)」は、天然痘ウィルスのバイオテロに襲われた米国の様子を描いたディザスター小説「合衆国封鎖シリーズ」の全九冊の四冊目です。

 

この作品の著者は大石英司さん。現代を舞台としたリアルな戦記&ディザスター小説を書かれる作家さんです。

 

本作「合衆国消滅」は致死率の高い天然痘ウィルスのバイオテロに襲われた米国の様子を描いたディザスター小説「合衆国封鎖シリーズ」全九冊の四巻目に当たります。

 

②前巻で、致死率の高い天然痘ウィルスのバイオテロに襲われ実質的統治能力を失った米国に救援を差し伸べた世界各国の救援隊⇒民兵と略奪者の横行で治安が悪化し救援物資の配布ができない状態に⇒ラスベガスに空路で一大補給拠点を作り始めたアジアの救援隊。今ココ!

 

本巻は4つのパートで構成されています。

 

① 救援物資の差配と物資の奪取を目論む大規模民兵集団・カリフォルニア軍団の部隊によるラスベガスの襲撃は日本の秘密部隊・サイレントコアによって概ね掃討できた。

しかしカリフォルニア軍団の一部はラスベガスに潜入!協力者の手助けをして支援本部襲撃を企てる。

 サイレントコアは侵入したカリフォルニア軍団の残党の脅威からラスベガスの支援本部を守れるのか?

 

② 一方、ウッドスプリングスの町を襲った民兵・リビエラ教団のリーダーであるチェスター・R・ベイカー大佐が天然痘にかかりながらも回復した事を知った医官の草鹿は、疫学調査のサンプルとして、民兵の跋扈するLAに帰還したベイカー大佐の身柄確保をサイレントコアに願うのだが・・・

 

③ ウッドスプリングスで一人暮らしをしてWebのブログ日記「リンデンバウムの樹の下で」を公開し、カリスマブロガーとして活動していた車椅子の少女・アイリーンが天然痘に感染してしまった。果たして医官の草鹿は彼女を救えるのか?

 

④ 天然痘の感染拡大で状況が悪化する事を懸念して潜水艦による米本土からの脱出を企む原子力潜水艦・ヴァージニアのクルーとその家族達!天然痘の国外流失を恐れる米国政府は、かの潜水艦の撃破を海上自衛隊に依頼するのだが・・・

 

と本巻では、大きく4つの出来事が同時に進行します。

 

 

【 感想 】

 

本巻は、前回紹介した第三巻「合衆国消滅(上)」の続きとなります。

天然痘ウィルスのバイオテロに襲われ統治能力を失った米国で、救援部隊がなんとか米国を救おうと四苦八苦します。

 

日本では今この時期、コロナウィルス感染拡大が概ね抑えられ、先進国の中では比較的患者数・死亡者数も抑えられた国との評価を世界から受けています。

 

翻って米国はと見てみると、世界一の感染者数と死亡者数を数え、コロナウィルスの感染拡大との直接の因果関係はありませんが、白人警官が黒人容疑者の拘束時に死なせてしまった事件を機に始まった暴動などで都市部の治安が悪化するなど、社会に不穏な気配を振りまくなど世界ナンバーワンを標榜する彼の国の負の側面をさらけ出しています。

 

今回のコロナウィルスは感染力は高いものの致死率はフランス、イタリア、スペインを除けば10%を下回っているのだが、もしこれが致死率が100%近い感染病だったらと考えると米国でコレが蔓延していたら「合衆国封鎖シリーズ」の様な修羅の国になっている可能性が高い。いや、米国でなくても修羅の国になってしまう可能性があります。

 

そんな修羅の国となった米国をどう救うのか?と知恵を絞り積極的に行動する日本を中心とするアジア各国と、修羅の国になったがために自分達組織の利益優先で行動し救援部隊の足をひっぱり続け、結果米国の救援を遅らせる民兵や略奪者達。

 

そんな、感染症が蔓延し国家の体をなさない米国で様々な考えや思惑で行動する組織・人々を描いた群像劇。本巻はドキドキハラハラの展開やドンパチアクションたっぷりのかなりアクティブな巻です。

 

本巻は主に4つの同時進行するエピソードによって構成されているのですが、そのおかげで物語が単調にならず、飽きずに最後まで読み続けられるのが良いですね。

 

コロナウィルスの感染拡大がかなり抑えられてきた今、「感染症が抑えられず最悪の状態になった米国を舞台として展開されるディザスター作品」であるこのシリーズを読むと、コロナウィルス感染拡大前に読むのとでは、現実味が大きく変わり、思う事も変わってくるかもしれないと感じます。

 まだ読んだ事が無い方は本巻と共に是非読んでみてください。おすすめです。

 

ということで本日はここまで。次回は「合衆国封鎖シリーズ」第五巻に当たるアメリカ分断(上)を紹介します。じゃあまたね。

 

※当ブログ記事ではACWorksさんの写真が写真ACを通して、又シルエットACからも画像が提供されています。