数日前、例のアベノマスクが届きました。

 

6月に入ってようやく。

 

結局マスク不足も解消され普通にドラッグストアで買える様になった今頃マスクが届いたという結果になりました。

 

まあ想定できない世界的な危機的事態に行った政府の施策、すべて上手くいく事なんてないだろうにとは思うのですが・・・うーん。

 

特別定額給付金の申請書類もようやく届き申請も済ませましたが入金は半月後を目処にとの事、マスクといい給付金といい、やはり1億2千万人の国の全世帯に配るとなると時間がかかるんですねぇ。

 

閑話休題

 

さて先月末より、この世界的なコロナウィルスの拡大に伴い、米国で異常に致死率が高い天然痘ウィルスのバイオテロが発生したらという、大石英司さんのディザスターストーリーの合衆国封鎖シリーズ(全九冊)の作品を順に紹介させていただいていますが、本日はその第三弾!合衆国消滅(上)を紹介したいと思います。

 

それではいつも通りあらすじ紹介から!

 

 

【 あらすじ 】

 

恋人を911テロで失った事で人生に絶望したロシア人女性生物科学者たった一人が引き起こした、殺人ウィルスによるバイオテロに、米国が襲われて半年。

 

国ごとロックアウトした米国では、全米に蔓延した新型天然痘により、ライフラインは断絶、経済は壊滅。医薬品・食料品は社会に供給されず、新型天然痘以外の疫病の感染拡大も進み、治安は悪化、多数の死者の発生で人口も激減していた。

 

政府・警察・軍はこの疫病拡大に有効な手を打てず、生き延びようとする者は、ある者達は自給自足の道を探り、ある者は集い武装し民兵やギャング団となり物資の強奪に明け暮れ、米国は混乱と修羅の国へと変貌していた。

 

 

一方、危機に瀕した米国を救うために、欧州各国は米国東岸から、日本を中心とするアジア各国は米国西岸から、物資の供給と救援部隊を送り込もうとするが、凶悪な疫病の蔓延と、物資を狙い暗躍する民兵とギャング団に都市を制され、遅遅と進まなくなっていた。

 

破滅に向かい突き進む米国の救援をどうにかして成功させるため、日本国政府は、ネバタ州の砂漠地帯に孤立する大都市ラスベガスに目をつける。

感染症の拡大抑制と民兵やギャング団の襲撃がし難い同都市を米国西側の物資供給&救援隊の拠点とするのだ。

 

秘密裏に動き始めるサイレントコアと救援部隊の先遣隊!

 

果たしてラスベガスを米国救援の拠点とすることができるのか?

 

米国の運命は!

 

 

【 解説 】

 

①この作品は、大石英司さんのディザスター小説「合衆国封鎖」シリーズ全九冊の三冊目です。

 

本作品は、「もし米国で致死率90%を超える天然痘ウィルスがばら撒かれるバイオテロが起こったら?」をテーマに書かれた、大石英司さんの群像劇的ディザスター小説「合衆国封鎖」シリーズ全九冊の三冊目です。

 

②本作は、米国を致死率90%を超える殺人ウィルスのバイオテロに襲われてから半年後の物語。

 

本作は、米国で致死率90%を超える天然痘ウィルスがばら撒かれるというバイオテロが起きて半年後の世界が描かれています。

 

殺人ウィルスの世界への拡散を防ぎ人類滅亡を防ぐために、国毎ロックアウトしてみせた米国だったが、政府の感染症対策は失敗!殺人ウィルスは全米に拡大!インフラ壊滅!経済活動の停止!医薬品や生活物資、食料の不足!により死者多数!人口激減!瞬く間に米国は崩壊!して、政府と米議会はカリブ海に浮かぶ大型客船群へ避難!  

                      ↓

全米で暴動多発!事実上の無政府状態に!善良な人々は家族や小さなコミュニティー単位で引き篭もり自給自足体制の確率を目指し。生き残る為に暴力を振るう事を躊躇わない者達の集団は民兵組織やギャング団を構成し、縄張り内にて住民達から物資を強奪し、他グループとの支配地域の奪い合いを行っていた。

                       ↓

そんな米国を救うべく、世界各国は自国への天然痘ウィルスの侵入を防ぎつつ米国救援の手立てを打とうとしていた。

欧州各国は大西洋を渡り米国東海岸側から、日本を中心としたアジア各国は太平洋を渡り米国西海岸から救援物資と救援の人材を送り込もうと画策する。

                       ↓

しかしあまりに強い天然痘ウィルスの猛威と無政府状態で民兵とギャング団による治安悪化で救援物資と人材を一向に送り込めない状態になって各国大弱り!

                       ↓

日本国政府は、ネバタ州の砂漠地帯にぽつんと孤立する大都市ラスベガスに注目!

物資不足で干上がりそうになっているも、ウイルスの感染を抑えられているこの都市に空路による一大補給基地を作る計画を立て、陸自の特殊部隊・サイレントコアと救援部隊の先遣隊をラスベガスに送り込むのだが・・・

 

 

③本シリーズは大石英司さんの代表的看板作品「サイレントコアシリーズ」の一作品でもある。

 

本シリーズは、九冊にも及ぶディザスター小説シリーズであると同時に、著者の大石英司氏の看板的作品であるサイレントコアシリーズの一作でもある。

 

サイレントコアとは、陸上自衛隊内に作られた秘密の特殊部隊で、元々は自国の原子力発電所の警備の為に作られた部隊です。

 

隊長の音無二佐を頂点に土門、司馬の二人の小隊長に率いられた二個小隊(合計60人規模)で構成された凄腕部隊。

 

現在は日本国の国益の為に世界を股にかけ秘密裏に活動を行っている、存在が隠されているトラブル対処部隊です。

 

 

【 感想 】

 

本作は、過去二回紹介した「合衆国封鎖」のその後を描いた作品の始まりの書です。

致死率90%の天然痘ウィルスのバイオテロに襲われた米国!瞬く間に全米に感染拡大を引き起こし猛威を奮った感染症は、米国資本主義経済を崩壊させ事実上の無政府状態になるまでにさせてしまいました。

 

欧州とアジア各国は感染症の自国侵入を防ぎつつ米国救援を画策しますが、無政府状態で治安悪化と凶悪な感染症の猛威の前に救援活動が停滞!

 

そこで一計を案じた日本政府は、砂漠地帯に孤立しているが為に感染症拡大を抑えられ、民兵やギャング団もいないネバタ州の大都市ラスベガスに一大補給基地を作ろうとするのですが!というお話。

 

今現在世界で猛威を奮っているコロナウィルス( COVID-19 )感染症の致死率は、今年3月のデータで恐縮ですが、世界平均で6.5%、数値の悪かったイタリアで14.1%でした。そのぐらいの致死率の感染症の拡大でも世界中は大わらわ経済活動も大幅に低下し未だに感染拡大を止められててはいません。生活様式はコロナウィルスの感染拡大の前と後で大きく変わってしまいました。

 

その事例を見るに、もし致死率90%を超え感染力も高い感染症が米国を襲ったら?という問いかけが主題となっているディザスター小説作品である本シリーズは、発刊当時の2002年に読んだ時は、ディザスター映画や小説好きの自分にとって壮大でダイナミズムが感じるおもしろい物語として読んでいただけでしたが、このコロナウィルスの世界的感染拡大のこの状況下で読み返してみますと、リアリティー感がはるかに増し増しでちょっと薄ら寒い感じさえしてくるのです。

 

特に米国でのコロナウィルスの感染者拡大から全米諸都市でのロックアウト、しかし対策の遅れから来る感染者数の急拡大!と医療崩壊。そして2020年5月25日に発生した白人警察官による黒人容疑者への不当な拘束方法による容疑者の死をきっかけに起こった抗議デモに端を発して全米諸都市で発生した暴動の様子を見ていますと、この国では何かきっかけがあると比較的容易に社会システムが混乱し崩壊しやすいのだと実感せざるを得ません。

 

もちろん今週でも続けられている人種差別に抗議するデモに端に発した暴動はコロナウィルスの感染症拡大とは直接の因果関係はありませんが、コロナウィルス感染拡大阻止の為に行われた全米諸都市のロックアウトによる閉塞感やフラストレーション。更に経済活動の縮小に伴う失業者の増加、景気悪化、政府や行政に対する不満や失望感が一つの事件をきっかけに吹き出した結果なのでは?と思います。

 

そしてコロナウィルスより格段に強力で凶悪な、そう、致死率90%と脅威の感染力を持った感染症が米国を襲ったらと想像すると尋常でないリアリティー感が自分に襲いかかってくるのです。

 

しかし社会が荒廃し生存の為に暴力を振るう者が跋扈するそんな絶望的な状況下でも、未来を信じて国を立て直そうと立ち上がる勇敢な者も現れるであろうと想像できるのも米国という国。いや米国に限らず人が居れば何処の国でもそうであろうと思う。

 

そしてそんな彼らを支援し協力しようとする者や国家が現れるのも、人間社会なのではないでしょうか。

 

そんな絶望的な災害に志を一つにした仲間達が集い、一致団結し困難を克服して未来を掴むのがディザスター小説の良さ、面白みです。

 

そんなこの物語は、様々な立場でこの感染症拡大で瀕死の米国と向き合う多彩なキャラクターの競演のお話です。

 

 オタク仲間と米国に取り残された可愛い日本人の女の子を救うために軽い気持ちで米国救援のボランティアとして米国入りしたオタク少年綿貫岳雄、

 

 恋人を失い閉塞感に押しつぶされそうになっていたラスベガス在住の女子大生メリッサ・ボールディング、

 

 感染症拡大阻止と治療法を求めて奮闘するFAV機動班長ウォルフガング・R・リンゼー大佐や自衛隊大宮科学学校の医官草鹿樹二佐ら感染症のエキスパート達、

 

 ラスベガスに一大補給基地を作るという作戦の尖兵として送り込まれてきた自衛隊の秘密部隊サイレントコアの士官土門三佐、

 

 米国運輸長官にして米国西部行政府長官として米国復興に尽力するトーマス・サカイ、

 

 ラスベガスの治安維持に奔走する軍属の代表カール・メトカーフ空軍少将、

 

 ネットのブログで感染症拡大の現在の田舎町での生活の日々を紹介しカリスマ的人気を誇るブロガーのアイリーン、

 

 物資の強奪と西海岸を目指し東海岸から来る避難民阻止を狙うギャング団リビエラ教団のボスのチェスター・R・ベイカー

 

様々な立場、立ち位置のキャラクター達が、彼らの目線で次々とエピソードが語られていくという群像劇スタイルのこの物語は、読者を全く飽きさせずに最後まで読み終わらせてくれます。

 

そんな要素がたっぷり詰まったディザスター小説シリーズがこの「合衆国封鎖」シリーズです。

 

このシリーズの起承転結の「承」の部分の始まりとなる本巻を含めシリーズの全九冊今だから読んで欲しいと思います。

 

実本はもう中古本でしか手に入りませんが、電子書籍での入手はできると思うので是非手にとってみてください。おすすめです。

 

 

※当ブログ記事には、写真ACサイトを通じて、acwoeksさん、Email3さん、KoH’sさん、kscz58ynkさん、

 うさコさんの作品が提供されています。