今年も残り少なくなり、昨日は家の片付け、掃除などをして過ごしました。

 

そんな中、通販の届け物を午前と午後、2回も来て届けてくれた運送会社の配達員さんにはちょっと申し訳無い気がしてならない。

 

年末の繁忙期で忙しく疲れるであろうに、一つの荷は金属製品で20kgぐらいの重さ、もう一つの荷は液体の入ったケース買いの荷、私と家族別々の注文で発送場所も違うので到着便の時間がずれたのかもしれませんが、重い荷物を2回も運ばせてしまって・・・

 

あの時、ちょっとしたタイミングのズレで、帰ろうとするあなたに「ご苦労さま。ありがとう」と言葉をかけそこねてしまいました。

 

あらためて「本当にありがとう。ご苦労さまでした。」

 

閑話休題

 

さてそれでは、いつも通り本の紹介へ

 

本日紹介する作品ですが、藤井邦夫さんの時代小説

 

影法師 柳橋の弥平次捕物噺 です。

 

 

では、いつも通り、あらすじ紹介から行くとします。

 

【 あらすじ 】

 

時、処は江戸。

 

神田川が隅田川に流れ込む処に架かっている柳橋の袂にある一軒の船宿「笹舟」

 

その船宿「笹舟」の主、弥平次は、南町奉行所定町廻り同心神埼和馬に手札を受け取っている江戸中に名を知られた名岡っ引き。

 

そんな弥平次の元には今日も事件の報が舞い込んでくる。

 

さて、今回の事件はどんな事件なのか・・・

 

名岡っ引きとその手下達の活躍はいかに!

 

 

第一話 影法師

 

弥平次の危難を声をあげて助けた旅姿の百姓女・おとよ。

常陸国水戸より出稼ぎに出たまま連絡が途絶えた夫を探しに江戸にやってきたというおとよに、手を貸すことにする弥平次。

しかし弥平次は嫌な胸騒ぎを覚えていた・・・

 

 

第二話 藪入り

 

藪入りの日、町でやくざ者に暴力を振るわれている少年を見かけた弥平次の手下・勇次。

やくざ者を追っ払い助けた少年の様子が気になった勇次が後を付けてみると、少年が今度は身投げをしようとしている。

慌てて止めに入った勇次は「笹舟」に連れ帰り親分の弥平次に引き合わせるが、訳を話そうとしない。

弥平次は少年・新吉に危難が降り掛かっていると見て、手下達に少年の周囲を探らせるのだが・・・

 

 

第三話 第八車

 

親孝行で働き者の荷車引きの少年・千太が博打打ちの平六殺しの罪で捕まった。

捕まえたのは捕物に熱心でない同心・相良孫右衛門の部下で手柄の為ならなんでもやる岡っ引き・駒形の音蔵!

少年の荷車が前日盗まれた事を知っていた弥平次は、少年が冤罪で捕らえられたと悟り、手下たちにこの件を調べるように命じるのだが・・・

 

第四話 猫ばば

 

お玉が稲荷の境内で嫌われ者の遊び人・猪吉が殺されているのが見つかった。

事件のあった日、お玉が稲荷を参拝していた弥平次の娘・お糸は境内で子守りをしていたお咲という少女に会った事を弥平次に話す。

弥平次はお咲に会って何か見なかったか尋ねるが、少女は明らかに何か知っている様子ながら口を閉ざす。

それを悟った弥平次は手下にお咲の周辺に注意するよう指示するのだが・・・

 

 

【 解説 】

 

①この作品の著者は藤井邦夫さん。

 

この本の著者は藤井邦夫さん。元東映テレビプロダクションで助監督&脚本家として活躍されていた方で、現在は時代小説家。

 

氏が脚本した番組には、特捜最前線、さすらい刑事旅情編、はぐれ刑事純情派、三匹が斬る、名奉行遠山の金さん、暴れん坊将軍、水戸黄門、スーパー戦隊超電子バイオマン、超人機メタルダーなどがあり、現代劇、時代劇、児童向け特撮ヒーロー物とジャンルを問わず多数の番組を手掛けています。

 

②このシリーズは、著者の代表作シリーズで捕物噺である「秋山久蔵御用控」と「知らぬが半兵衛手控帖」のスピンオフ作品!

 

本作「柳橋の弥平次捕物噺」シリーズは、著者の代表作でもある捕物時代小説シリーズ「秋山久蔵御用控」「知らぬが半兵衛手控帖」に登場する主要キャラクター・岡っ引き柳橋の弥平次とその手下達を主人公にしたスピンオフ作品です。

 

・両シリーズの人物相関図

 

    南町奉行所                           北町奉行所

 

吟味方与力・秋山久蔵                     差配与力・大久保忠左衛門         

       ↓                                  ↓

定町廻り方同心・神埼和馬                  臨時廻り同心・白縫半兵衛

臨時廻り同心・蛭子市兵衛

       ↓                                 ↓

岡っ引き・柳橋の弥平次  ←お互いの作品を行き来→     岡っ引き・半次、

       ↓                                                 手下・鶴次郎、房吉

   下っ引き・幸吉

  手先・長八、虎吉

  勇次、雲海坊、由松

 

③一話40~130ページの短編連作小説スタイルで四話。

 

この作品は一話40~130ページ前後の短編四話で構成されている短編連作小説スタイルの作品です。

 

 

【 感想 】

 

本作は著者の代表的な捕物時代小説シリーズ「秋山久蔵御用控」「知らぬが半兵衛手控帖」シリーズに登場する主要キャラクターである岡っ引き柳橋の弥平次とその手下達の活躍を描くスピンオフ的人情捕物時代劇小説です。

 

著者の代表作たる「秋山久蔵御用控」「知らぬが半兵衛手控帖」はお互いの作品の主人公(南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵と北町奉行所臨時廻り同心・白縫半兵衛)が、それぞれの作品にゲスト出演する特徴がある。つまり同じ時間軸、作品世界で共存しているという設定だ。

 

そして両作品に出演し事件探索の最前線で汗をかく存在が岡っ引き・柳橋の弥平次とその手下達なのです。

 

そんな両作品に欠かせず、かつ時には両作品の主人公・秋山久蔵と白縫半兵衛を繋ぐ役目をする主要キャラクター、岡っ引き・柳橋の弥平次とその手下達を主人公にした新たな人情捕物時代劇小説がこの「柳橋の弥平次捕物噺」シリーズです。

 

本シリーズの特徴は、身分や権力、暴力、貧しさ、痴情、恨みから犯罪に巻き込まれた町人を助け、彼らを犯罪に巻き込んだ輩を痛快に捕縛しやっつける岡っ引き・柳橋の弥平次とその手下たちの捕物話の痛快さと胸を揺さぶる人情話です。

 

そしてこのシリーズでは、スピンオフ作品らしく「秋山久蔵御用控」「知らぬが半兵衛手控帖」では語られていない、弥平次の手下達の隠されていた過去が披露されていきます。

 

彼らが柳橋の弥平次の手下になった経緯に纏わる苦く悲しい過去話と彼らが捕物の探索にかける想いが胸を撃ち、両シリーズには無い感慨を与えてくれました。

 

本シリーズと「秋山久蔵御用控」「知らぬが半兵衛手控帖」両シリーズを合わせて読むとその作品世界の世界観により浸れるので是非両シリーズも合わせて読まれる事をおすすめします。

 

 

ということで今回はここまで。じゃあまたね!

 

 

※当ブログでは、cocoancoさん、reiさん、toranekoさんのイラスト素材をイラストACさんより提供していただいています。