普段50人前後のブログ閲覧者が昨日はいつもの3倍位になっていてびっくり!

 

時々、思いがけずに閲覧者数が増加することがある。

 

あまり知り合いにブログの事を伝えていないので、ハッシュタグ経由での閲覧者が主だと思うのだが急の増加は逆に「何があったんだろう?」と怖ろしく思う時もある。

 

また直ぐ閲覧者が落ち着くので安心なんだが・・・

 

閑話休題

 

さて本日も本の紹介へと行くことにします。本日紹介する作品は、

 

薬丸岳さんのアノニマス・コールです。

 

いつも通りあらすじ紹介から行くとします。

 

【 あらすじ 】

 

二年半前、妻子と別れ埼玉の工場で非正規の工員として働く朝倉真志の携帯電話に呼び出し音が響く。電話に出てみると沈黙の後に聴こえたと思った声は忘れもしないあの声・・「お父さん・・・」、慌てて携帯を耳に寄せたが通話は切れていた・・・

 

元夫婦の朝倉真志安本奈緒美娘・が行方不明になった。

 

娘の行方を探すため二年半ぶりに再会した真志と奈緒美の元にかかってきた一本の匿名電話。

 

「娘・梓を誘拐した・・」

 

三年前のある事件のせいで犯してもいない罪で警察を辞めさせられた真志は、娘の誘拐事件の背後に自分に対する闇の意志を感じた。

 

真志は協力者を募り警察に頼らず娘の奪還に動く。

 

一方、頑なに娘の誘拐事件への警察の介入を拒む元夫に不審の念を抱いた奈緒美は娘を救うために独自に真相を探っていく。

 

果たして娘。梓を無事に取り戻せるのか?

 

誘拐事件の裏にある真相とは?

 

 

【 解説 】

 

①著者は、江戸川乱歩賞作家の薬丸岳さん。

 

この作品を書いたのは、ミステリー作家である薬丸岳さん。

 

2005年「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を取ってデビューし以後、日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞などを受賞するなど数多くのミステリー作品を世に送り出している実力のある作家さんです。

 

②題名のアノニマスコールの意味は?

 

この本の題名である「アノニマスコール( anonymous call )」の意味は、匿名の電話、非通知電話の事です。

つまりこの作品で言うと概ね、誘拐犯人からの電話の意味にあたるということですね。

 

③娘を誘拐された元夫婦の奮闘を描いた作品

 

この作品は、二年半前ある罪を犯したとして有罪になり警察を辞めさせられた後、妻子と別れ工場の非正規従業員としてひっそり暮らしていた男と罪を犯した夫に失望して別れ一人娘を懸命に育て生きていたシングルマザーの女が、娘の誘拐を機に再会。娘を取り戻すために奮闘するお話です。

 

④夫・朝倉真志目線と妻・安本奈緒美目線の二方向から展開する娘奪還への行動。

罠にかけられ犯してもいない罪で警察を辞めさせられた夫・朝倉真志は、協力者を募り警察を頼らず娘の奪還を目指し。

 

頑なに警察の協力者を拒む元夫の行動に不信感を抱いた元妻は、娘の奪還と元夫が警察を拒む理由を探して独自に真相を探り始める。

 

そんな二人のそれぞれの目線で物語は進み、誘拐事件の解決と事件の裏側に潜む真相へ二方向から迫っていきます。

 

⑤誘拐事件の裏にある三年前に起きた交通事故

三年前、警察官の朝倉真志は、自身の情報屋から得た情報により「薬物摂取の男により車が暴走し歩道を歩く園児の列に突っ込み多数の死傷者を出した暴走車事件」に違和感を持ち独自に調べていた。

 

しかし暴走車に不審な弾痕を発見した直後、やってもいない罪で逮捕・拘束され捜査官から罪を帳消しにする変わりに情報屋の履歴と暴走車事件について沈黙することを強要される真志。

 

警察上層部が関わった陰謀を察した真志は、一切何も語らず沈黙したことで、やってもいない罪を着せられ有罪になり警察からも放りだされる。

 

以後、妻子が人質にされ危険な目に合わぬように妻・奈緒美にも真実を話す事なく別れ一人孤独に生きる事を選択した真志。

 

一方警官同士で結婚し真面目で優秀な警察官だと思っていた夫・真志が犯罪を犯し逮捕、本人も罪を認め有罪となった事に失望し夫と離婚し娘と共にシングルマザーとして生きる奈緒美。

 

別れた二人は、皮肉にも娘の誘拐事件をきっかけに再会する。

 

妻子の身の安全を思い警察内部の陰謀について話せない真志。警察に頼ることができない彼は自ら娘を救出する事に固執せざるを得ない。

 

一方不可解な元夫の対応に不信感が隠せない奈緒美。

 

結局警察に頼る事になった彼女に囁かれる「娘の誘拐は真志の仕組んだこと・・」

 

愕然とする奈緒美、しかし警察の言い分に違和感を感じた奈緒美は独自に真相を知ろうと行動を開始する・・・ 

 

さあどうなるのか?的なドキドキハラハラなお話です。うーんちょっとネタバレ過ぎか・・・

 

 

【 感想 】

 

前半の手探り感と後半の疾走感のバランスが良い。

 

前半、娘を誘拐され「誰が敵であるのか?」「敵がどう出てくるのか?」「どう行動するのが正解なのか?」が判らず慎重に行動する真志と奈緒美の二人の手探り感にドキドキ。しかしもどかしい。

 

それが後半、おぼろげにも敵の存在が判りかけてきた頃からスイッチが切り替わりスピード感、疾走感が増し増し。

 

うーんこの全体の構成が良いね。ある意味この疾走感を体感させるためにも前半にタメを作っていたのかな?とも感じました。

 

②娘の救出に警察に頼れない主人公の、チンピラ情報屋とヤンキーな新人同僚を仲間にしての娘救出作戦がおもしろい。

 

警察内部に自分の敵が存在するであろう中、チンピラ情報屋とヤンキーな若い同僚を雇って犯人と接触し娘救出に挑まなくてはいけない真志らと犯人側との知恵比べがおもしろい。

 

③誘拐事件の裏に存在するであろう三年前の交通事故に隠された真実に迫っていくワクワク感が良い。

 

真志が冤罪で職を辞さなければいけなくなった発端である三年前の交通事故に隠された真相を娘の奪還と同時進行で謎解いていく過程はワクワク感もあり十分楽しめました。

 

④読み終わってみれば、ある意味定番の真相。また悪党に屈したあの人とかあの人の心情に納得いかないところもあり。

 

で、結論として、読み終わってみれば、ミステリーで良くみる「定番の真相」がそこにありましたが、まあでも楽しめたと思います。

 

冤罪によって引き裂かれた家族も元鞘に戻れそうだし。

 

とはいってもヒロインの奈緒美にとっては別な不幸な状況も迎える事になってくるんですけど・・・概ね大団円。

 

ただ「悪党に屈して職業倫理というか矜持を失って悪党に加担したあの人」とか「奈緒美の父の心情や行動」に納得いかないものもありでもやもや。

 

また悪党も隠しておきたい事あれば最初から真志を始末しておけば良かったのに・・・とか考えてまたもやもや、なにやら納得いかないものも感じました。

 

 

で、読み終わって、ミステリーものとして「傑作」とまではいかないと思いますが「概ね良し」ぐらいのミステリーだと感じました。暇つぶしにはなると思いますので何処かで見かけたら読んでみてください。

 

というところで本日はここまで。じゃあまたね。

 

※当ブログではacworkさん他、写真ACより提供されている写真を提供され使用しています。

 

 

 

蒼色の大地 (単行本) 蒼色の大地 (単行本)
1,870円
Amazon

 

 

 

悪党 (角川文庫) 悪党 (角川文庫)
649円
Amazon

 

友罪 (集英社文庫) 友罪 (集英社文庫)
913円
Amazon