本日は台風19号襲来の影響で強い雨模様。

 

我が身のみならず台風の進路上の暴風雨圏下にお住まいの方々に災厄が起こりませぬように祈ります。

 

閑話休題

 

それでは、本日もいつも通り本の紹介へと行かさせて頂きます。

 

本日の作品は、ミステリー・警察小説分野から

 

薬丸岳 著 刑事の怒り を紹介しようと思います。

 

ではいつも通りあらすじ紹介からいきましょう。

 

【 あらすじ 】

 

夏目信人は、警視庁東池袋署の刑事課強行犯係の刑事。

 

元法務省刑務官から転身してきたという履歴を持つが

 

一見、のほほんとした柔らかい雰囲気を持つ姿を見ると言われなければそんな過去も伺えない。

 

しかしそんな彼は他の刑事たちが気づかぬ事件の真実を暴きだす凄腕刑事だった。

 

社会の歪みから起こる犯罪の真実を夏目の眼差しは見逃さない!

 

 

【 解説 】

 

①著者の薬丸岳さんは主にミステリー・警察小説を得意とする江戸川乱歩賞作家です。

この作品の著者、薬丸岳さんは、2005年に『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビューして以来、ヒューマニズム溢れるミステリー・警察小説を得意とする作家さんです。

 

②この作品は、『刑事・夏目信人シリーズ』の四作目の作品です。

 

この作品は、「元法務省刑務官の前歴」と「犯罪に巻き込まれ心身を傷つけられた娘を持つ犯罪被害者家族」という側面も持つ、心優しき刑事・夏目信人の活躍を描いた警察小説シリーズの四作目です。

 

今巻は4話の連作小説です。

 

今巻は、

 

年金不正受給とパラサイトをテーマにした「黄昏」

 

性犯罪・性暴力をテーマにした「生贄」

 

外国人労働者をテーマにした「異邦人」

 

介護事故 をテーマにした「刑事の怒り」

 

の四作のお話です。

 

 

【 感想 】

 

 
薬丸さんのミステリーは、「誰が犯人なのか=Who done it ?」より、犯行の動機と犯行方法の謎解き、つまり「何故犯行に至ったのか?=Why done it ?・犯行動機」、「どのように犯罪がなされたのか=How done it ?・犯行方法」の追求が主体の作品が多く、本作もその傾向の強い短編作品が四作の連作小説です。
 
「黄昏」はWhy done it より
「生贄」もWhy done it より
「異邦人」もWhy done it より
「刑事の怒り」だけが、who done ite & How done it & Why done itのバランス型という感じでしたね。
 
丁寧な聞き込みを元に構築された事件の推理描写も、犯人にも立ち直りの機会を与えようと声をかける夏目の姿も、シリーズを積み重ねて手慣れたもので安定感があります。
 
事件のテーマも、1つ目と3つ目の作品は今現在日本で社会問題の一端となっている出来事を、2作目は永遠に無くならない男性の女性への性暴力問題、4作目は自己中心的な考えに凝り固まる男の嫉妬と身勝手な妄執の果てに起きた医療事故を装った完全犯罪狙いの事件と、いろいろ飽きさせない様に変えてきていて良いですね。
 
そして短編なので時間の無い時でもちょっと1話読むといった感じで読めるのも良いです。
 
 
「刑事・夏目信人」シリーズは、被害者だけではなく加害者にも慈愛の心で接しよう&判ろうとする主人公の刑事のヒューマニズム溢れる人間ドラマがキモのミステリー作品ですが、今回は夏目の慈愛の想いが犯罪者の心に響くこと無く終わっている話もあったりしてちょっと切ない想いも抱きました。まあ、すべて今後に希望ありの予定調和話で終わってはおもしろくないからコレはコレで良いのですが。
 
犯罪被害者の夏目の娘さんも少しずつ回復してきているようですが、まだまだ回復まで時間が掛かりそう。彼女を巡ってまだ一波乱ドラマがあるのか?夏目一家に真の笑顔が蘇るのか?今後の展開も楽しみです。
 
 
とうことで、ちょっぴり切なく、優しい雰囲気が漂う「刑事・夏目信人シリーズ」第四作。読みやすいのでどこかでこの作品を見かけたら手にとってみることをお薦めします。
 
ということで本日はここまでじゃあまたね。
 

※当ブログではチョコクロさん、他、写真ACからの写真の提供をしていただいています。

 

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