びゅぅ~・・びゅ~・・ う~さぶぅ!

昨日は大変強い寒風が吹き。帰り道を歩く自分の身体を痛めつける。

 

すっかり冷え切った身体で帰宅すると、そこには熱々のおでんと「お帰り。寒かったろう」という家族の声。冷え切った身体がぽっと温かくなった・・・

 

 

 さて、本日は日本時代劇映画に多くの作品を提供している藤沢周平さんの短編時代小説集から、海坂藩大全(上・下)をご紹介したいと思います。

 

 『海坂藩大全(上・下)』は、藤沢周平さんが生み出した、東北の貧しい小藩・海坂藩を舞台とした、主に下士とその家族らの悲哀、生活、生き様を描いた短編時代小説集で、その作品の中には、映画化された小川の辺山桜も収録されています。

 

 短編集ということで、短い文章の一つ一つの作品は、言いたいこと書きたいことが濃密に凝縮されていてとっても判りやすいです。しかも作品世界に生きるキャラクターの心情もはっきり伝わってきて、藤沢作品を読んだ事が無い方はまず長編を読むよりコチラの様な短編集から読まれることをお薦めしたいです。

 

 ということで、この後はこの作品に収録されているお話しをいくつかを紹介します。

 

『暗殺の年輪』

 

 下士の葛西贄之介は、道場帰りに上士の息子貝沼金吾に呼び止められ屋敷に招待される。そこに待っていたのは家老の水尾と彼の派閥に入っている上士達。!? 家老の水尾が言うことには、「今、藩政をを牛耳っている中老の嶺岡兵庫が裏では私服を肥やすために不正を行っているので暗殺をせよ」と言う。ドクロ しかも、贄之介の父の横死と家の没落を防ぐ為に母が行った行為に嶺岡中老が関わっているという。ガーン 帰宅し母に聞いた話を詰問した所、翌朝母が自死したことで、暗殺を決意したムキーメラメラ贄之介は中老嶺岡を狙うのだが・・・

 

『相模守は無害』

 

 幕府の隠密・明楽箭八郎は十四年に渡る海坂藩への潜入任務を終え江戸に帰ってきた。上司たる若年寄に工作の成功報告をした後組屋敷に帰り、久々に知り合いの末娘で出戻りの後家・勢津と会い、自分の将来を考える。照れ

 ある日、ふと自分が任務で行っていた海坂藩の江戸屋敷を見に行った箭八郎。すると屋敷に入っていく人物にいるはずのない人物の姿を見てしまう。びっくり 懊悩した箭八郎は自分の判断でメラメラ再度海坂藩に潜入するため組屋敷を後にするのであった・・・DASH!

 

 

『唆す』

 

 百姓一揆を煽った疑いで海坂藩を追放された神谷武太夫は妻と江戸の裏長屋で浪々暮らしをしている。武太夫は筆造りの内職で糊口をしのぎ、長屋の衆の相談事を聞いてやり、月に一度は裏店の子供達に手習いを教える謹厳実直な生活をして満足している風。ニコニコ楽しみと言えばかわら版を買いに行く事くらい・・・そんな夫に失望の念をもちながらも何故か夫に漠然とした不安を覚える妻。そう、武太夫には妻も知らない別の顔が隠されていた・・・ ニヤリグラサン

 

 

『梅薫る』

 

 海坂藩勘定方の中士・奥津平左衛門は百石取りの馬廻り役・保科節蔵の元に嫁いでいった娘の志津が実家に度々理由をつけて里帰りを繰り返すことに不満と怒りを持っていた。ムキー 娘の心が判らない平左衛門。ショボーン

 しかも今回は子を身ごもって実家で休ませてもらうとの理由での里帰りだ。

翌日、志津の夫・節蔵に謝罪すると応用な態度で気遣ってもらい感謝の念にたえない平左衛門。プンプン

 しかし平左衛門が帰宅すると、志津が人妻の身でありながら、元婚約者の江口錦之助に文を出し会おうとしていると聞き、錦之助に未練を残す志津を呼ぶと、婚約破断に至る隠された真実を話す決断をするのであった・・・ムキー

 

 

 

 

『報復』

 

 先代から二代続けて柚木家に使える下男の松平。松平は、勘定方に勤め無外流の高弟であり無口でもの静かな主人・邦之助とほっそりとした身体に勝ち気な風貌ながら美人の妻・康乃、二人の物静かだが仲睦まじい静謐な武家の夫婦の生活に誇りを持っていた。照れ

 そんな平和な生活がある日突然終わりを告げる。ガーン

主人邦之助が次席家老・都筑頼母の元に公金横領の是非を正しに向かった結果自死させられたのだ。

 その後、主人の妻・康乃が家の存続を餌に頼母に身を汚された挙句廃人となった姿を見せられるに及んで、松平は、自分が誇りに思っていた柚木家をめちゃくちゃにした次席家老の都筑頼母に一矢報いてやろうと復讐を企てる・・・ ムキー

 

 

 

 

 この短編集は、東北の貧乏小藩・海坂藩を舞台に、権勢争いを繰り返す上司達のとばっちりを受け藩政が安定しない中、虐げられる民や下士の悲哀や誇り、生き様を描いた作品群で、短編だからこそ言いたい事や心情がストレートに伝わってくる良作です。

 

上巻10話、下巻11話の中にはきっと気に入ってもらえる一作があると思います。

 

 この作品を読んでいると、「蝉しぐれ」「隠し剣鬼ノ爪」「必死剣鳥刺し」「武士の一分」「小川の辺」「山桜」などの藤沢周平の時代映画の世界が脳裏に浮かび上がります。照れ

※映画を観ていない方はコレを読んでから観てみるのも良いと思います。ニコニコ

 

 倹しく生きる下士の生活、謹厳実直清貧に生きる武家の夫婦、権勢争いに励み窮乏する民を顧みず贅沢に生きる上司、その歪みから起こる悲劇と怒り誇りを持つ者の行動、その姿に現代社会に生きる我々にも思い当たるさまざまな出来事とオーバーラップさせて感慨深く感じさせてくれる良書だと思います。照れ

 どこかでこの作品を見かけたら是非手にとってみてください。ニコニコ

 

ということで、本日はここまでビックリマークじゃあまたねパー

 

 

 

 

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