もうすぐゴールデンウィークとなりますが皆さんはどうお過ごしになるのでしょうかはてなマーク

 

私は当然の如く、読書三昧ビックリマーク・・ といきたいものなのですが、家の雑務がいろいろ溜まっているのでどうなるのか・・・

 

 閑話休題

 

 それでは、いつも通り小説のご紹介へと行きましょうか。本日はミステリービックリマークそれもちょっと変則的なリーガル物の作品をご紹介しようと思います。

 

 その作品は、深木章子 著 「敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿」です。

 それではいつも通りあらすじ紹介から行くとしましょう・・・

 

 

 

 2006年3月28日、山梨県北杜市☓☓町のIT企業経営者・本村弘樹所有の別荘の二階ベランダから、本村の妻・瑞香と長男・朋樹が誤ってベランダから転落して死亡する事案が発生した。

 

 当初は事故だと思われていた事案であったが、現場に不審な状況が認められた事、雑誌編集者に送られてきた本村の妻・瑞香よりの告発メールなどから一転して、夫・本村弘樹は殺人犯として逮捕され裁判にかけられる事になった。

 

 裁判で本村弘樹の弁護を担当することになった弁護士の睦木怜は、早速本村、瑞香周辺の関係者から証言を集めるのだが、関係者からの証言・告白から彼らの裏の顔が明らかになってきて・・・

 

 幸せだと思われていたセレブな一家の裏側で起きていた事とはビックリマーク 事件の真相はビックリマーク

 

 

 

 本作の著者である深木章子は、東大法学部卒の弁護士を長くやられていて、60歳を機にリタイヤして執筆活動を始め、2010年、「鬼畜の家」で第三回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞、2011年同作出版、作家デビューという異色の作家さんで、本作も元弁護士という経験を活かした少々変わったリーガル(法廷)もののミステリーとなっている。

 

 その特徴として、リーガルものの範疇にカテゴライズされているが、法廷シーンは存在せず、裁判において関係者や被告本人が裁判所に提出した供述調書の内容、弘樹の担当弁護士・睦木に関係者が語った証言内容、息子・朋樹が祖母に送ったメールの内容、裁判結審後に弁護士・睦樹が弘樹に送った手紙の内容、弁護士睦樹に弘樹より送られてきた手紙の内容、で構成されている。

殺人予告              妻の本性

 

       不倫          殺人計画

 

托卵            NTR

 

 そうこの物語はリーガルものにある、裁判所での検察と弁護士の丁々発止や証言者や裁判官の行動や表情などの生身の姿が表現されていなくて、ただ記録があるだけ。読者はこれらの記録を読んで、彼らの人物像、事件とその裏にあった人間関係、彼らの感情・思いを脳内で想像し読み解いていかなければならないのだ。

 これは自分には大層新鮮で刺激的な感があり、脇目も触れず一気に読み終えてしまった。

 感想しては元弁護士さんが書いたらしい、伏線の張り方とその回収、物語の締めもカッチリしていて良くできたミステリーだと思いました。

 

 ただ、主人公?の弁護士・睦木怜のキャラクター・パーソナリティーが「女性」であること以外、全く出てこないのにタイトルの「弁護士睦木怜の事件簿」ってどうなのかな?とも思います。

 良く「法廷で真実を・・」「事件の真実を法廷で・・」とは言いますけれど、自分は法廷では事件の真実がすべて明らかになるとは思った事がありません。

 

 法廷での証言、証拠は検察側、弁護士側双方が自分達に不利になると思うものは存在しても決して出しませんし、被告・関係者の証言は、意識的にも無意識にも、記憶の改ざん、嘘言、誇大化、矮小化もあるので、真実に極めて近いところまで迫ることができるかもしれないが、本当の真実には行き着かないと自分は思っています。そういう所を本作は表現してくれていて自分はこの作品に結構満足しました。

 

 自分は裁判において、情状酌量とかそれに伴う裁判の刑期の大小とかにかなり疑問を持っていて、裁判において被告の罪に対する態度で判決の内容に影響があるのには常々疑問を持っています。人の心の内側を覗くことなど誰も出来ないのに、裁判官はそれを推し量り判決に影響を与える・・・そもそも反省の態度、謝罪の念などは被害者の心に届いてなんぼなので、情状酌量・刑期を減らすとかを認めるならその判断にはもっと被害者の意見・意志がもっと介在するべきだと思うのはいかがなもんでしょうかはてなマーク

 

 ちょっと話それてしまいましたが、この「敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿」ミステリーとしてなかなかおもしろいと思うので、どこかでお見かけしたら手にとってみることをお薦めします。

 

 ということで、本日はここまでビックリマークじゃあまたねパー