先日、TVのニュースショーだったかで、一昔までは殺人等で無期懲役で収監された受刑者が12~13年位で社会復帰出来ていたが、平成16年の刑法改正にて有期刑の最高が20年から30年に変更された事がキッカケで無期懲役囚が30年の有期刑囚より前に仮釈放されることが困難になって、無期懲役囚が高齢化し、刑務所内で命を終える者が多くなってきた事の特集が放送されていた。
特集では刑務所内で高齢化した囚人の介護を若い囚人が懲役している現状の紹介と無期懲役囚への刑期の長期化と仮釈放への思い、仮釈放されたら何がしたいか
などのインタビューなどが紹介されていた。
そこで無期懲役囚のインタビューを観ていて気がついたのだが、彼らが話す事は「昔は一人殺して無期懲役になっても12~13年で出られたのに・・・」「仮釈放されたら自由になんでもやってみたい・・・」など話すのだが一人も仮釈放されたら被害者家族に謝罪しに行きたいとか、罪の償いをしたいとか言い出す者がいなかった事だ、せめて「出所出来たら、まず被害者の墓参りに行きたい。そこからですね・・・」くらい一人くらい言えよ
と思う・・・刑務所側がインタビューに差し出すのだから不穏当な発言をしないであろう人物をチョイスしているだろうなのにだ。もちろん放送されなかった囚人の中には被害者家族に対して謝罪の念を持っていたり、償いをしたい者もいるのかもしれないが、放送された囚人にはそういう想いを口に出す者が皆無だったのは残念だった。私が青臭いのかな・・・

良く裁判前中後に加害者側が被害者家族への謝罪や後悔の念、償いの言を披露しているが、その行為の多くは、刑の減刑を願ったパフォーマンスである事もざらである。
本当の償いとは?謝罪とは?悲惨な事件・事故が起き加害者側のコメントが出る度その事についていつも自分は考える。
そんな事をつらつら考えていて、今日御紹介する作品を決めた。その作品とは、大門剛明 著 告解者 である。 それではいつも通り、あらすじ紹介から行こうと思う。
鶴来寮という更生保護施設で身元引受人の居ない元受刑者の社会復帰を手伝う補導員をしているさくらは頑張り屋だが経験値が足らず元受刑者に振り回される日々を送っていた。ある日鶴来寮に二十三年前に強盗殺人事件を引き起こした元無期懲役囚だった久保島健吾が入所してきた。久保島は物静かで知的な面立ちの男で、さくらに「被害者宅に謝罪に行きたい」と願う。謝罪に来た久保島の真摯な態度に、被害者の兄・牧野光三は自分の会社に彼を引き取る事を決める。以後、久保島は真面目に働き、アパートで一人暮らしを始めるが、その矢先サラリーマン殺害事件が発生し、刑事・梶輝夫が久保島が怪しいと、久保島やさくらの前に現れる。久保島の態度に容疑者の影を感じられなかったさくらは自分で久保島の事を調べ始める・・・
この物語は、犯罪者の更生と償いをテーマとした社会派ミステリーで、ドラマの様なセリフ廻しで臨場感たっぷり
キャラクターの性格、容姿や物語の情景がハッキリ思い浮かべられる、読み易く、キャラクターに感情移入し易い作品である。特に彼らが口にする言葉(セリフ)は印象深い
『君の行為は何があっても赦せない。だが君という人物は別だ。私に見せてほしいありのままの君を。君が更生したかどうかそんな事は知ったことではない。だけど君と向き合うことで私は戦いたい怒りと、見極めたい赦すことに本当に意味があるのかを。』
『二十三年が経っても、どうしても私は深雪を死に至らしめた最後の一人を許せなかった。 赦せない!今もずっと私は深雪を愛しているんです。』
『思いのこもらない謝罪でも無理にしなければいけないのでしょうか?心から謝罪することこそが更生、本当にそうなんでしょうか。』
こういうシビれるセリフ廻しが読者の気持ちを揺さぶってくる。
罪人の謝罪・償い・更生とは
この事を改めて考えさせてくれる一作です。
自分は、昔から刑事裁判の法廷に置いて、犯意、殺意、謝罪の念、償いの念、後悔の念を考慮して刑を決める事に疑問を持っていた、加害者の心中など他人には分かり得ないのに、(自分でも自分の本当の気持ちが判らないことさえある・・)加害者のそれを考慮して裁判官が刑期を大小する事はどうなのか
といつも思ってしまう。自分は被害者(被害者家族)の喪失感や実害からの面から刑期を判断した方が合理的だと感じている。例えば自動車事故で家族を喪った被害者家族は、殺意で殺されようが、飲酒運転やスピードの出し過ぎで殺されようが、運転を誤って殺されようが、家族を失った事実と喪失感は同じである。(むろん動機や傷つけられた状況について怒りの念の大小はあるであろうが・・・)この動かさざる事実のみで刑を判断する方が合理的かつ公平ではないか・・・などと考える。皆さんは刑法や裁判のあり方をどう思っているのかなぁ・・・などと自問している自分がいた。
あー今日はなんか語ってしまった・・・
まあこんな感じでつらつら想い馳せる気持ちにさせてくれるこの作品、何処かでお見かけすることがありましたら、一度手に取ってみてほしい。 じゃあ今日はここまで
またね

特集では刑務所内で高齢化した囚人の介護を若い囚人が懲役している現状の紹介と無期懲役囚への刑期の長期化と仮釈放への思い、仮釈放されたら何がしたいか

そこで無期懲役囚のインタビューを観ていて気がついたのだが、彼らが話す事は「昔は一人殺して無期懲役になっても12~13年で出られたのに・・・」「仮釈放されたら自由になんでもやってみたい・・・」など話すのだが一人も仮釈放されたら被害者家族に謝罪しに行きたいとか、罪の償いをしたいとか言い出す者がいなかった事だ、せめて「出所出来たら、まず被害者の墓参りに行きたい。そこからですね・・・」くらい一人くらい言えよ




良く裁判前中後に加害者側が被害者家族への謝罪や後悔の念、償いの言を披露しているが、その行為の多くは、刑の減刑を願ったパフォーマンスである事もざらである。
本当の償いとは?謝罪とは?悲惨な事件・事故が起き加害者側のコメントが出る度その事についていつも自分は考える。
そんな事をつらつら考えていて、今日御紹介する作品を決めた。その作品とは、大門剛明 著 告解者 である。 それではいつも通り、あらすじ紹介から行こうと思う。
鶴来寮という更生保護施設で身元引受人の居ない元受刑者の社会復帰を手伝う補導員をしているさくらは頑張り屋だが経験値が足らず元受刑者に振り回される日々を送っていた。ある日鶴来寮に二十三年前に強盗殺人事件を引き起こした元無期懲役囚だった久保島健吾が入所してきた。久保島は物静かで知的な面立ちの男で、さくらに「被害者宅に謝罪に行きたい」と願う。謝罪に来た久保島の真摯な態度に、被害者の兄・牧野光三は自分の会社に彼を引き取る事を決める。以後、久保島は真面目に働き、アパートで一人暮らしを始めるが、その矢先サラリーマン殺害事件が発生し、刑事・梶輝夫が久保島が怪しいと、久保島やさくらの前に現れる。久保島の態度に容疑者の影を感じられなかったさくらは自分で久保島の事を調べ始める・・・
この物語は、犯罪者の更生と償いをテーマとした社会派ミステリーで、ドラマの様なセリフ廻しで臨場感たっぷり


『君の行為は何があっても赦せない。だが君という人物は別だ。私に見せてほしいありのままの君を。君が更生したかどうかそんな事は知ったことではない。だけど君と向き合うことで私は戦いたい怒りと、見極めたい赦すことに本当に意味があるのかを。』
『二十三年が経っても、どうしても私は深雪を死に至らしめた最後の一人を許せなかった。 赦せない!今もずっと私は深雪を愛しているんです。』
『思いのこもらない謝罪でも無理にしなければいけないのでしょうか?心から謝罪することこそが更生、本当にそうなんでしょうか。』
こういうシビれるセリフ廻しが読者の気持ちを揺さぶってくる。
罪人の謝罪・償い・更生とは

自分は、昔から刑事裁判の法廷に置いて、犯意、殺意、謝罪の念、償いの念、後悔の念を考慮して刑を決める事に疑問を持っていた、加害者の心中など他人には分かり得ないのに、(自分でも自分の本当の気持ちが判らないことさえある・・)加害者のそれを考慮して裁判官が刑期を大小する事はどうなのか

あー今日はなんか語ってしまった・・・




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