近年、国際的なテロ組織の暗躍、犯罪組織の広域化、国際的な産業&軍事スパイの活動激化、インターネットを使用してのハッキング&サイバー攻撃等の増大などで、国家の情報収集能力、インテリジェンスの重要性が日本でも唱えられてきている。 実際政府は日本版CIAやMSAなどの組織の設立を探っていくようだ。しかし日本の現状は、情報漏洩やスパイ行為に対する日本の法制度や取り締まりはザル状態で、『日本はスパイ天国だ。』など世間では評されていて、情報に対する日本人の対応は未熟だと言わざるを得ない。特に組織を作っても、情報を正しく分析しうる優秀な人材は一朝一夕には育成できないであろう。
そんな現状を頭の片隅に置いてもらい、本日も警察小説の一作を御紹介しようと思う。
その作品は、濱嘉之 著 警視庁情報官 です。
それでは、いつも通りあらすじ紹介から行きたいと思います。
平成十年、この年、後の警視総監となる北村清孝・警視庁公安部長と後の警察庁長官となる西村馨警察庁官房総括審議官の、同郷の同期生のキャリア官僚の二人が赤坂の料亭にて、警察組織内に包括的に国内外の情報を収集し分析しうるトップ直属の情報管理組織を自分達の現役期に造る事を誓っていた。
二人のキャリア官僚は順調に出世していく中、新組織の核となる優秀な人材を探すのだが、そんな彼らの御眼鏡に叶った人材は、ノンキャリア組の出世頭で公安総務警備企画課員・黒田純一警部補だった。北村は黒田と顔を合わせ、納得したうえで、彼らの計画を話し、時が来たらその組織に参加するよう促すのだった。
そして数年経ち、二人の官僚がそれぞれの官庁のトップになった時、警視庁内に警視総監直属の秘密情報管理機関・警視庁情報室が設立される
・・・
過去、ノンキャリアの出世頭として警視庁公安畑を歩み公安部公安総務課、内閣情報調査室等のインテリジェンスの世界を歴任した著者が満を持して描く、情報収集・管理分野を描いた異色の警察小説
元警察官だった事を活かした、著者の警察組織内の描写のリアル感は半端無く
まるでノンフィクション小説であるかの様な佇まいを見せている。 ただ、前半は警視庁内に出来た秘密情報管理組織・警視庁情報室の設立の経緯と人物の紹介に物語の前半部分を使ってしまっていて、かなり説明臭い組織の構築話で小難しい感じなので、挫折して読むのを辞めてしまう人が続出するかもしれません。
後半は打って変わって、現職の与党衆議院議員、原発設置に邁進する電力会社、原発の建設を請け負うゼネコン、地上げ等の汚れ仕事を引き受ける暴力団、議員が入信している新興宗教、という五者の組織的犯罪の数々を一斉摘発しようとする情報室を擁する警視庁(と警察庁)VS政権維持に必死な与党首脳部&各団体様の対決模様
をテンポ良く描いていて好感をもてる。まあ対決といっても捜査本部の一気呵成の攻めの模様を楽しむばかりなのだが・・・しかしラストは結構切ない感じなのが妙にリアルだった。
という感じで後半になって大きく話しが動く感じの話しなので、これから読もうとする方は是非、前半を乗り切って欲しいと思う
通常の警察小説とは一味違う、情報収集と分析に特化したという前代未聞の主人公を中心とした警察組織の活躍を描いたインテリジェンスなミステリー小説
この作品を何処かで見かけたら、是非手に取って読んでみてほしい。そんな作品です! それでは、今日はここまで
じゃあまたね
そんな現状を頭の片隅に置いてもらい、本日も警察小説の一作を御紹介しようと思う。
その作品は、濱嘉之 著 警視庁情報官 です。
それでは、いつも通りあらすじ紹介から行きたいと思います。
平成十年、この年、後の警視総監となる北村清孝・警視庁公安部長と後の警察庁長官となる西村馨警察庁官房総括審議官の、同郷の同期生のキャリア官僚の二人が赤坂の料亭にて、警察組織内に包括的に国内外の情報を収集し分析しうるトップ直属の情報管理組織を自分達の現役期に造る事を誓っていた。
二人のキャリア官僚は順調に出世していく中、新組織の核となる優秀な人材を探すのだが、そんな彼らの御眼鏡に叶った人材は、ノンキャリア組の出世頭で公安総務警備企画課員・黒田純一警部補だった。北村は黒田と顔を合わせ、納得したうえで、彼らの計画を話し、時が来たらその組織に参加するよう促すのだった。
そして数年経ち、二人の官僚がそれぞれの官庁のトップになった時、警視庁内に警視総監直属の秘密情報管理機関・警視庁情報室が設立される

過去、ノンキャリアの出世頭として警視庁公安畑を歩み公安部公安総務課、内閣情報調査室等のインテリジェンスの世界を歴任した著者が満を持して描く、情報収集・管理分野を描いた異色の警察小説

元警察官だった事を活かした、著者の警察組織内の描写のリアル感は半端無く

後半は打って変わって、現職の与党衆議院議員、原発設置に邁進する電力会社、原発の建設を請け負うゼネコン、地上げ等の汚れ仕事を引き受ける暴力団、議員が入信している新興宗教、という五者の組織的犯罪の数々を一斉摘発しようとする情報室を擁する警視庁(と警察庁)VS政権維持に必死な与党首脳部&各団体様の対決模様

という感じで後半になって大きく話しが動く感じの話しなので、これから読もうとする方は是非、前半を乗り切って欲しいと思う

通常の警察小説とは一味違う、情報収集と分析に特化したという前代未聞の主人公を中心とした警察組織の活躍を描いたインテリジェンスなミステリー小説



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