ここんところニュースを観ていると、ウクライナの内戦とマレーシア機の墜落事件では、各陣営が虚々実々の情報戦を繰り広げていて、中東ではイラクでの内戦、シリア内戦、イスラエルとパレスチナのガザとの戦いが泥沼状態で、我が国&アジア諸国対中国の領海・海洋権益争い、我が国と韓国の慰安婦問題、我が国と北朝鮮との拉致&核問題、など混沌かつ複雑で解決困難な国際問題が山積みである。 そんな外交案件の解決に重要な情報の収集は、内閣情報調査室、外務省や防衛省、警察庁(公安調査庁)などの組織がそれぞれ情報収集・分析(インテリジェンス)を行っている。 昨今ではその情報の取りまとめを行うNSC(国家安全保障会議)の設置法案が国会を通っている。 こうした国民の眼になかなか触れられない部署で働く人達がいる。 
 
 今日はそんな世界の一つ、警察の警備・公安筋を舞台とした警察小説、麻生幾 著  「特命」 を御紹介しようと思う。 そんな作品のあらすじは・・・・
 
 警察庁のキャリア・伊賀剛は国家公務員1種試験合格者トップ成績と慎重かつそつなく仕事をこなして同期入庁組一の出世頭だと自負していた。出世の唯一の懸念材料は、警察庁職員(人妻)との不倫関係だけだ。それもそろそろ終わりにしようと考えていたところに、上司の警察庁警備局長・星村直紀より「至急登庁せよ」との命令が サミット開会三日前で緊張感溢れる中、登庁した伊賀は星村より「成田で不法入国取り調べ中変死した男の正体を探り、その男が死に際に放った言葉ワカバナンブの意味を解明せよ」との特命を受ける。 たった一人で特命に挑む事になった伊賀は、テロリストの暗躍と対外情報の闇の狭間に挑むことになる。その先にあった結末は・・・

 映画にもなった「宣戦布告」
で日本の危機管理体制の不備を描いた麻生幾さんが、お得意の危機管理物として、国内情報収集組織の国際情報収集の主導権争いの世界を描いた警察小説です  
 自分はこういう組織物が好きでいろいろ調べたりするので、作品を読み終わって作品の筋がなんとか理解出来ましたが、読む方によっては内容を理解するのも難しいと感じられるかもしれません。 現場で汗水垂らして奮闘する人、上層部で主導権争いと陰謀を図る者の狭間で主人公・伊賀が謎に挑んでいくというだけの作品かと思っていたら、その結末の最後に伊賀が知った顛末が面白い 起承転結の為のストーリー  それまではある意味退屈で意味を理解しようとするので精一杯で、正直つまらない作品だと思っていた
 緊張感あるはずのシーンも在ったのに心躍らない・・・ それがラスト付近で印象が変化なるほど、こうきたかと・・・ とにかく最後がキモ それまで上昇志向バリバリでいけ好かない主人公の存在が、この作品において何となく違和感あった意味が判って、なるほど納得 ある意味主人公に愛おしささえ感じるかも・・・  
 
 この作品、読み始めてなかなか面白いと感じられないかもしれない。 それでも我慢して読んで、結末に行き着いた時、面白く感じられるかどうかで評価が別れる印象の作品 ラストのあの腹黒さを面白いと感じられるか 読んだ方がいましたら、その感想を是非聞いてみたい作品でした。


 では今日はここまで・・・バーイ

特命/麻生 幾
¥1,836
Amazon.co.jp