ひな祭りも過ぎ、新聞広告のバス旅行のチラシに、花見ツアー募集が満載するようになってきました。う~んも、もうすぐですねぇとはいっても、まだまだ寒いので、お家で読書でもしていましょうか さて、本日ご紹介する作品は、前回ご紹介しました。富樫倫太郎 さんの堂島物語 の続編にあたります、 いのちの米 堂島物語 をご紹介していきたいと思います。 そのあらすじは・・・

 大坂の堂島に二年前に開設された米会所の米市に連日通う新参者の米仲買人・能登屋吉左衛門(26)は、年は若いが優れた状況判断と手堅い小商いで、値動きがあまりない膠着状態の相場でも着実に利を稼ぎだす相場師である。 この能登屋吉左衛門は、かつて米問屋・山代屋で丁稚奉公をしていて婿入り話を断って店を辞めた吉佐その人であった。 両替商の娘・加保を駆け落ち騒動の末嫁にして店を持ち、半年前に世話人の助力で米の仲買株を手に入れ、メキメキ頭角を現してきていた。 ある日、恩人・不動庵に、一回の相場で十万石単位の大商いをして万両単位の利ざやを稼ぐ負け知らずの相場師・寒河屋宗右衛門の存在を知らされ衝撃を受ける。 その後、長雨からの貧困で苦しむ農民を身銭を切って助けようとする飯塚屋福右衛門の存在を知った吉左衛門は、その感動して自らも身銭を切って飯塚屋の支援に廻る。その過程で今年の米の作柄が最悪の飢饉の状態になりそうな情報を自らの足で手に入れることが出来た吉左衛門は、かつてない大勝負をすることを決心する。 客から預かった金と自己資金でひたすら米を買い集める日々、プレッシャーに押し潰されそうになりながらも自らの判断を信じて突き進む吉左衛門の勝負の行方は・・・・

 この作品は前回ご紹介した堂島物語の続編にあたります。米の仲買人になって店を持った。吉佐こと吉左衛門の人として、相場師としての成長を描いた本作では、相場師ながら誠実かつ律儀な人柄に多くの人に見込まれ、あるいは助けられて成功していきます。儲けた金を何に使うのか?吉左衛門の決断は!ここも見所です。 それにしても、相変わらずの都合良すぎる展開はどうかな とも思えますが、まあ主人公の成功物語は気持ちいいことは確かです 寒河屋というライバル登場かと思わせておいて、結局対決するでもなしなのはいただけない、物語的にはマイナスポイントだ 初めて大きな勝負を客から預かった金で行うことに大きなストレスを感じ、悶々するなど相場師としての心理描写に重点が置かれていているのはなかなか良かった。 それでもこの性格の良すぎる主人公のキャラクターは、嫁さんとのラブラブっぷりも併せて、リア充過ぎてどうなのとも思う。 まあ大坂の米相場を舞台とした、吉左衛門の大勝負とその結果、そして生きた金の使い方を素直に楽しめるかがポイントの作品です。   
 それにしても吉左衛門と嫁の加保の一節  
「おまえと初めて会うて、わしは生まれて初めて女を好きになった・・・あの頃のわしよりも今のわしの方がずっとお前のことを好きになってる。」  「恥ずかしいやないですか。そんなこと面と向かって言われたら。」   「そんなら、もう言わん。」  「もっと言うてください。」  「はっ?」  「わてのことを昔よりも好きになっとるて、もっと言うて。」  「ふざけとんのか?」  「わても真剣ですわ。真剣やけど恥ずかしいだけ。そやから、早う言うてください」  「ふむ・・・まあ、ええわい。嘘やない、わしは前よりも今の方がお前のことを好きになっている。 ずっと好きやで。 ほんまや」  くっ~ おい なんじゃこの件俺の脳内では、アメトークでの再現ドラマで安田美沙子が語りかけてる感じで再現されてしまったぞ こっ恥ずかしいがな赤くなってしもた~  まあこんなのがラストにもあるで、読みたいなら手にとってみるがいいさ・・・

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