昨今、拉致監禁の事件について報道されることがしばしば見受けられる。営利目的もあると思うが、女性が被害者の場合、性行為目的の場合が多い。無事開放されたとしても被害者とその家族には精神的な苦痛が襲いかかるのは必然といってよい。今日ご紹介する作品はそういう題材を扱ったミステリー小説である、井上一馬 著 二重誘拐です。 そのあらすじは・・・
中学校卒業の折、想い人の鍋島秀明に告白し順調に愛を育んでいた鍋島千恵が姿を消したのは、些細なことでケンカをして秀明が千恵を一人川べりに残した高3の11月のある日であった。警察の捜査も実らず彼女を探し出せないまま丸二年過ぎたある日、突然
千恵が家族のもとに帰ってくるが、千恵は秀明の接触を拒み、警察には事件の詳しいディテールを話さない。彼女に対し支える意志を伝える秀明に別れを伝え、一人、自分を知らない遠くの街で人生をやり直すと告げる千恵
そんな彼女に「君は幸せになってくれ。自分は結婚せず生きていく
助けが欲しい時には声をかけろ」と告げる秀明・・・
警察庁特別広域捜査課に所属する凄腕捜査官、「紀州の虎」こと紀虎鉄平警視は、「何者かに誘拐・監禁されたにも関わらず二~三年後には開放され帰ってきた女性失踪者」についての事件が気になっていた。 彼女ら全員が陵辱されていた事で彼女らの今後の事から口を閉じ証言を拒む家族と被害者
それでも被害者全員が犯人の事を語らないことに違和感を覚える紀虎
真相が掴めない状態が続くが紀虎の粘りの捜査が事件の謎の扉をこじ開けていく・・・
ミステリー小説の分野ではあるが、主人公を含む捜査陣の描写や謎解き、犯行の様子の描写や犯人の人物描写、等はあっさりと描かれていて、推理・警察小説的にはボヤけた印象を受けた。 その分、被害者とその家族や関係者の描写に重きが置かれ事件被害者を見守る者目線での物語が主に描かれている。 事件の口止めの為に考え出された手法についてはなかなか面白いアイデアだと思う。 しかし女性読者は読後、吐き気を催すかもしれない卑劣な犯罪だと考えながら、久々に自分の胸にどす黒い負の感情が貯まるのを感じた。
それにしても、この物語に出てくる主要人物にして被害者女性の元カレ鍋島秀明について皆さんはどう思うのであろうか。自分が彼女を送らなかった事で事件に巻き込まれたと自責の念を持ち続け、誘拐監禁後開放された彼女との別れに「君が遠くの街で人生をやり直したいなら尊重する。君は幸せになってくれ。自分は今後も独り者で生きる。助けが欲しい時には連絡をくれ
」なんて言っちゃうキャラクター
イイオトコ
感動
困惑
うざい
重い
ムカつく
評価が難しいキャラクターです。 素直に感動出来る感じではありません。 ちょっと出来すぎたキャラクターですよね~
イイオトコであるはずなのに、自分には出来すぎキャラが鼻についたというか、ザラついたキャラに感じました。そんな彼の献身の心が事件解決の糸口になっているのですが・・・捜査陣の存在感が逆に無いですよね
そういう事も含めいろいろ考えさせてくれた作品なので、皆さんにも読んでいただいて感想を聞いてみたいですね。 それでは皆さんまた!
中学校卒業の折、想い人の鍋島秀明に告白し順調に愛を育んでいた鍋島千恵が姿を消したのは、些細なことでケンカをして秀明が千恵を一人川べりに残した高3の11月のある日であった。警察の捜査も実らず彼女を探し出せないまま丸二年過ぎたある日、突然



警察庁特別広域捜査課に所属する凄腕捜査官、「紀州の虎」こと紀虎鉄平警視は、「何者かに誘拐・監禁されたにも関わらず二~三年後には開放され帰ってきた女性失踪者」についての事件が気になっていた。 彼女ら全員が陵辱されていた事で彼女らの今後の事から口を閉じ証言を拒む家族と被害者


ミステリー小説の分野ではあるが、主人公を含む捜査陣の描写や謎解き、犯行の様子の描写や犯人の人物描写、等はあっさりと描かれていて、推理・警察小説的にはボヤけた印象を受けた。 その分、被害者とその家族や関係者の描写に重きが置かれ事件被害者を見守る者目線での物語が主に描かれている。 事件の口止めの為に考え出された手法についてはなかなか面白いアイデアだと思う。 しかし女性読者は読後、吐き気を催すかもしれない卑劣な犯罪だと考えながら、久々に自分の胸にどす黒い負の感情が貯まるのを感じた。
それにしても、この物語に出てくる主要人物にして被害者女性の元カレ鍋島秀明について皆さんはどう思うのであろうか。自分が彼女を送らなかった事で事件に巻き込まれたと自責の念を持ち続け、誘拐監禁後開放された彼女との別れに「君が遠くの街で人生をやり直したいなら尊重する。君は幸せになってくれ。自分は今後も独り者で生きる。助けが欲しい時には連絡をくれ
















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