暑い日が続きますね外を歩くだけでじわっと汗が滴り落ちますこういう時は、高原の木陰で涼やかな風を受けて読書でも・・・って、これ前に書いたじゃん デジャブ~なネタで始まりましたが、今日、ご紹介する作品は、前回ご紹介した 鳥羽亮 著   山田浅右衛門斬日譚 の姉妹作で、主人公、山田浅右衛門吉利 の山田家に婿養子として入ってから首打役として成長していく様を描いた作品、鬼を斬る 山田浅右衛門涅槃斬り をご紹介させて頂きます。 そのあらすじは・・・

 備中国新見藩家臣・後藤五左衛門の次男・五三郎は、山田家の門人でもあり試刀術の達人でもあった父親の影響を受け兄とともに山田家道場に通い試刀術の稽古に通っていたが、当主・六代目山田浅右衛門吉昌に天秤を見抜かれ、山田家の婿養子となった。名を吉利に変え稽古に励む毎日であった。 その後、吉利は初の斬首
に失敗してから義父・吉昌の手練に遠く及ばない結果しか出せない毎日を送る事になる。 おのれの不甲斐なさに落ち込む吉利
 そんなある日、奉行所打役同心・丸尾甚三郎が本来自らの業務である斬首を自分にもやらせて欲しいと申し出てくる。土壇場にて斬首を行う丸尾吉利であったが、無様な吉利の斬首に対して見事な抜き打ちで斬首を成功させる丸尾、以後斬首役を丸尾と分け合う事となり落ち込み悩む吉利であったが、黙って慈愛の目で見守る吉昌 その後、斬首の数を重ねていくうちに己の心根が変化していくのを感じる吉利は、いつしか罪人を心安らかに西方浄土へ送り出す奥義・涅槃斬りの境地に達していく・・・

 死罪人の斬首役という役目の重圧に悩む若き七代目と見守る六代目
 ライバルとして、自らの腕への自信と功名心や利から首打ちをする打役同心・丸尾の出現 様々な動機から重罪を犯し捕まった死罪人の半生と牢屋敷での人間ドラマ が幕末の混乱期の世情の風景とともにしっとり描かれている。婿養子として山田家に入った青年が真の七代目山田浅右衛門になっていくまでの半生を描かれている。趣き深い作品です。 六話連作小説 前回紹介させていただいた 絆 山田浅右衛門斬日譚 とともにお勧めさせて頂きます。

 
鬼を斬る―山田浅右衛門涅槃斬り (徳間文庫)/鳥羽 亮
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