爽やかな風がそよいで過ごしやすい季節になってきましたね。こんな季節はそんな風がそよぐ木陰で読書するのもいいんじゃないでしょうか。

 さて今日ご紹介する作品は、宇江佐真理 著  斬られ権佐 です。そのあらすじは・・・
 
 仕立屋の職人・権佐は「化け物」と呼ばれる期日には縛られないが手間を喰う割に実入りが少ない仕事しかできない身であった。その理由は、奉行所与力・菊井数馬の小物として御用でしばしば外出するからと、和馬の想い人であった女医・あさみが逆恨みから旗本の子弟達に斬られそうになった所を庇いなます斬りされ身体が不自由となった事からである。 あさみの献身的な治療と介護から命の瀬戸際から奇跡的に回復した権佐は、その後あさみと夫婦
となり娘も授かった。 全身八十八か所に傷をおった彼を御用仲間は「斬られ権佐」と呼んだ 今日も権佐はその醜悪な姿を人々に恐れられながらも江戸の町を聞き込みに歩き周るのであった・・・
 
 憧れの想い人の身代わりに人が身を避ける程の
醜悪な姿になった権佐 命の瀬戸際で権佐の心の叫びを聞き夫婦になることを決断した女医・あさみ あさみに想いがあり、あさみの危機に自分も助けに入っていたにも関わらず小物・権佐にあさみが取られた事に未練と嫉妬を内に秘めた数馬 そんな数馬に屈託がありつつも小物として尽くす権佐 そんな人間関係の中、事件の真相を探る日々が過ぎてゆく・・・人間の中にある、白いだけでいられない複雑な想いを描き秀逸な作品になっている あさみと夫婦になれながらも醜悪な姿と時折襲い掛かる尋常ではない身体の痛みに苦しむ権佐権佐の苦しむ姿を目の当たりにするあさみの姿が、そこら辺の捕り物劇とは違う、味わい深く切ない感じの作品となっている。 こんな作品ですが読んでみてはいかがでしょうか・・・

 
斬られ権佐 (集英社文庫)/宇江佐 真理
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