うひゃー、暖かい日も多くなってきたこの頃ですが静岡では夏日も観測されるほど、こんな暑い日なんて反則だよ このところ暖かい日と寒い日が交互にきて体調管理が大変ですが、皆さんもお身体には気をつけて・・
 さて、今日、ご紹介する作品は推理小説で、第五十五回江戸川乱歩賞 受賞作 遠藤武文 著  プリズントリック です。そのあらすじは・・・

 市原交通刑務所の受刑者の欠員が朝の点検で見つかった
慌てて刑務官が探したところ、顔と手の指が赤く焼け爛れた遺体が見つかる。遺体の側には「石塚、 死すべし。 宮崎」と書かれた紙が置いてあった。
遺体のシャツの認識番号から石塚満が殺され、姿を消した宮崎春雄が逃走したと判り、刑務官が関係者宅の張り込みに散るが、捜査権限の48時間を過ぎても宮崎を拘束できなかった。 事件は千葉県警に受け渡されるが捜査本部管理官・武田陽司は、殺されたのが宮崎で逃走したのが石塚だと見抜くが捜査が進む中、思ってもみない事実が次々判明し捜査は混乱・複雑化していく・・事件の全貌と動機は何なのか

 
 この作品は交通刑務所内の殺人事件という密室殺人系作品なんですが、とにかく作品内で各章・各段落が各登場人物の視点で物語が進むので、油断すると事件の全体像が掴みづらい作品です。 それなので、事件のトリックや謎解きより、事件に関係する登場者のドラマに目がいって、少々とっちらかってしまった。各章・段落ごとのドラマは良いのだが、作品全体としてはどうなのかなぁ

 とにかく、著者が作品にあれも、これも、書きたいことを詰め込もうとして溢れかけている印象を強く感じた。それなので主張したい事がボヤけている印象も感じられる。それなので作品にはおもちゃ箱をぶちまけたような、荒々しい、雑な、多彩な色の氾濫
のイメージが感じられた。 この作品は読み手の評価が上下に広く散らばる感じの作品だと思います。 各章・段落でのドラマには印象強い良いところもあるが作品全体で見ると良作とは言い切れない印象でした。 うーん残念

プリズン・トリック (講談社文庫)/遠藤 武文
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