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東京で開催されるのが1991年より34年ぶりとなる『世界陸上競技選手権大会(世界陸上)』は、9月13日より始まり本日9月21日、閉幕する。
各競技、熱戦が繰り広げられる中、出た結果により、歓喜する者、悔し涙にくれる者様々だ。
この日の為に準備してきた者達の多くは、栄光には届かず、ほんの一握りの者だけが3色のメダルを手にする。
その残酷な現実に立ち向かう雄々しい選手たちの一瞬の姿は誰であっても尊い
だから身ひとつで各競技に立ち向かう競技者に対し視聴者は心動かされ声援を贈るのだ。
なので、出場している選手達の結果が予想外の成績だったとしてもSNSとかでネガティブな発言や責める言葉を送るのは辞めてあげて欲しいな・・
閑話休題
はい、それでは本日も本の紹介へと参ります。
本日紹介する作品は、宮田珠己さんの『そして少女は加速する』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
高幡高校陸上部の4継(4×100mリレー)の女子リレーチームは、バトンのミスによりインターハイ出場を逃した。
傷の癒えぬまま、4継の新メンバーが指名され再始動を開始。
部長としての力不足に悩む水無瀬咲(2年)、
チーム最速だが、気持ちの弱さに苦しむ横澤イブリン(2年)、
自分を変えるために、高校から陸上を始めた春谷風香(1年)、
なんとしてもリレーメンバーになって全国に行きたい樺山百々羽(1年)、
部のルールに従わず、孤独に11秒台を目指す手平あかね(1年)。
インターハイ出場の為、努力を続ける彼女たちだが、それぞれが抱える、目標や悩みは様々で、いまいちチームは一体にならない・・果たして彼らはインターハイに出場できるのか・・
【解説】
①本作の著者は宮田珠己さん
本作の著者は宮田珠己(みやたたまき)さん。1964年、兵庫県生まれの61歳。
大阪大学工学部土木工学科卒。卒業後、株式会社リクルートに入社。不動産部門を経て編集部門に異動。
1995年、新風舎より『旅の理不尽』を自費出版。会社を退職し、以後、アジア地域を中心に旅し、旅行記・エッセイを刊行する。
2007年、『東南アジア四次元日記』で第3回酒飲み書店員大賞受賞
2017年より朝日新聞書評員をしている。
2021年には初の小説作品『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』を発表した。
主にエッセイや旅行記を出刊していたが、昨今では小説にもチャレンジしている作家さんです。
【代表作】
『東南アジア四次元日記』
『ジェットコースターにもほどがある』
『勝手に関西世界遺産』
『日本全国津々うりゃうりゃ』
『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』
【感想】
本作は、とある高校の陸上部を舞台に、陸上部女子のそれぞれの心の内面と本音を赤裸々に描いたスポーツ系青春小説です。
群像劇スタイルでリレーメンバーに選ばれた各キャラクター目線で描かれる物語
部長に指名され戸惑いこれでいいのか悩むもの
周りからエースと期待されるも内心は不安でしかないもの
高校に入ってから陸上部に入った陸上素人なもの
なんとしてもリレーチームのメンバーになりたい補欠のもの
周りの者なんて関係ない、一人孤高の立場でストイックに目標記録に挑むもの
選手個々に、この競技に対する熱量も、やる気も、不安も、リレーチームのメンバー個々に対する想いも、皆違う。
日々揺らぐ乙女の不安定な内面。
それでも時間は進み、彼女の日々の研鑽と苦悩とコミュニケーションの積み重ねは、少しづつ、少しづつ、チームの形を造っていく・・
彼女ら個々の目線から描かれる物語は、時には内心メンバー対して毒を吐く様も見られたりして、何ともリアル。
「そうそう自分が学生の頃、先輩や後輩、監督やコーチに対して内心毒を吐いたりしてたなぁ・・」なんて学生時代を思い出したりして、共感!
メンバー1人が担当するのは100m。わずか12秒の世界。そこで彼女たちは何を考え何を想うのか?
そんな「まるで流れる汗が目に見える様に」描き出された彼女らの日々。
『部活女子』のドストレートな青春ストーリーの快作!
一読をおすすめします。
※当ブログ記事には、お絵かきオニさん、楠英浩さんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。