岸田首相、8月14日のお盆の真っただ中に、自民党の総裁選不出馬を正式表明した。 「自民が変わるため私が身を引く」といった。
なぜ不出馬なのか、なぜこのタイミングかー。
第一に岸田総理は、「政治家の意地だ」と言った。岸田総理は、不出馬の記者会見で、「新生自民党を国民に示す。自由闊達な論戦が総裁選挙で必要で、自民党がかわることをしめすことが必要。その第一歩として岸田が身を引くことがもっともわかりやすい」と述べたあと、「政治と金。整理をして方向性を示せねばならない。政治家の意地。で身を引いた」とした。その心は、周りが続投をアドバイスするが、自分はきれいに身を引いて「責任をとる」といいたかったのであろう。しかし、実際は、総裁選にむけて続投がむづかしくなったのかもしれない。
第二に、アメリカのバイデン大統領が不出馬宣言をした。岸田さんはバイデンとは非常に馬があい、いろんなことを日米間でやりとげたという意識が強い。アメリカ大統領が仮に、トランプになった場合にはトランプは安倍元総理が脳裏からはなれずバイデン新派の岸田は相手にされないー。そう考えたのであろう。さらには、自分の花道としてバイデンは国賓待遇でワシントンに招待してくれ、米上下両院でスピーチをさせてくれた。安倍スピーチを上書きしたもので安倍を競争相手としてきた岸田総理にはここで一つの目標を達成したという達成感があったのであろう。「バイデンも辞めた自分も辞める」という心理状況である。
第三に、岸田内閣は発足から7月29日で1000日となり、橋本龍太郎元首相を抜き、戦後35人の首相のうち8位になった。戦後の歴代首相の在任期間は平均2年余りで、在任日数が1000日を超えたのはこれまで7人にとどまる。最長は通算3188日の安倍晋三氏で、佐藤栄作氏や吉田茂氏が続く。戦後7位の岸信介氏は1241日だ。
第四に、次の総理は、「戦時内閣となる可能性がある」。一般の新聞やマスコミではあまり報道されていないが、NATO軍の飛行機が多く日本に飛来している。台湾、日本、韓国といった西側同盟国に非常なる脅威が高まっているからNATO軍の戦略爆撃機や 戦闘機が多数きているわけである。無論、国連軍の旗印をたててやってきているわけであるので、事前協議等は全くいらない。これは、イランとイスラエルの戦争が明日勃発するかもしれない状況で、米軍は空母機動軍を中東に振り向ける事態がきている。そうなれば、インド太平洋には空母がいなくなる可能性が高くなるのであるが、空母の代替として、日本全体が「不沈空母」となっている実態がある。それほど緊迫した状況は岸田総理にもわかるわけであり、戦争をやる総理にはなりたくないー、平時の総理でいたい、というのお本音の一つであるかもしれない。また、南海トラフ大地震がきたとしても大変である。
以上のような理由から岸田さんは総裁選挙を辞退したのであろう。 さて、その影響であるが、間違いなく岸田総理で衆議院選挙をやれば自民党は消滅する。自民党の現職ででれば影響力はなくなると自民党議員はみなが考えていた。そこで、次の総理は、その総理が自民党の顔となれば衆議院選挙で戦うことができる人が選ばれるであろう。さすれば、国民に人気がある、石破茂、小泉進次郎河野太郎あたりがこよううか。
ポスト岸田の総理は間違いなく、戦後日本のもっとも重要な時期の総理となる方である。十分に総裁選をたたかい、国民の理解をえて就任し、その職務を果たしてほしい。