ウクライナ戦争で「独裁者同盟」が成立しようとしている。

バイデン政権は反民主主義国の権威主義国を敵国とする、「白黒をつける安全保障政策」を展開した。その結果、ロシアはイラン・北朝鮮・中国と急速に接近し、機密技術・武器を共有する軍事協力関係が構築された。そこでの共同生産協定や技術移転、作業員の供給が行われている。米情報筋の話として、こうした関係を通じてロシアの長期的な戦闘能力を向上させており、イラン・北朝鮮・中国の戦闘能力も向上させている。

 プーチン大統領は、金正恩朝鮮労働党総書記と6月19日に平壌で同盟関係を結んだ。北朝鮮は、ロシアがウクライナで戦うロシアに砲弾や短距離弾道ミサイルを提供する見返りに、北朝鮮はロシアに兵器の製造ラインの人員補強のため、労働者を派遣している。その見返りとしてロシアは北朝鮮にかなりの量の燃料油を供給する。また、ロシアは国連安全保障理事会で3月、北朝鮮への制裁監視延長を阻止するため拒否権を行使した。これにより、北朝鮮とロシアとの間の武器の流れを精査されないようになる。

 「ロシアがウクライナで行っている戦争は、中国と北朝鮮とイランに支えられていて」「われわれは一層脆弱になり、世界は一層危険になるだろう」とストルテンベルグNATO事務総長は述べたが、このことは、アメリカ大統領選挙のテレビ討論会で、トランプ候補がバイデン大統領を第一の論点であった。

 イランに目を転じてみれば、イランはロシアへの主要な兵器供給国になっている。イランはロシアに何百機もの無人機および短距離弾道ミサイルをロシアに供給しているとともに、ロシア国内に無人機「シャヘド136」(イランのドローン)を年に数千機生産可能するタルスタンの工場建設を支援した。イランにとり自国のドローンの戦場での機能をチェックできる利点があり、ヒズボラやフーシ派の手にイランのドローンはわたる。この武器調達関係の強化は行われる。その結果、イランは「歴史上初めて、ロシアにとってジュニアパートナー以上の存在になっている」。

 中国は、米国の制裁対象となっているロシア・イラン・ベネズエラとの通商関係や金融関係を強化している。 中国はロシアに対して、ロシアの軍需産業向けの工作機械や超小型電子部品、戦車および装甲車向けの光学機器、巡航ミサイル用のターボエンジンなど、軍民両用の機器を大量に輸出してきた。さらに、ロシアがウクライナでの戦争に活用するための人工衛星など宇宙インフラの能力を向上させる手助けもしている。

日本にとってもクリティカルな状況が生まれつつあり、台湾危機で中国とロシアが共同して行動する可能性が高まっている。米軍は中国とロシアが台湾を標的にしたとみられる初めての合同軍事演習を行っている( アブリル・ヘインズ米国家情報長官)。