「もしトラ」で米中2極体制へ!?

 

「もしトラ」で米中の2極体制が確立される見通しが強くなってきた。トランプは大統領時代においても中国脅威論はぶちあげたものの中国とは「ディ―ル」を行った。トランプが再選されれば、米中が覇権をわかちあう「2極体制」(軍事的協調、経済相互依存)が現れる可能性が次第に高くなってきている。

 

その証が「米中密談」が頻繁に行われるようになってきたことであり、トランプが再選されれば米中の戦略的調整の「定例化」の可能性が強くなってきている。

 

喫緊の密談は1月26〜27日両日、タイの首都バンコクで12時間にわたり行われた。米国のサリバン大統領補佐と中国の王毅・外相は中国が懸念する「台湾危機」とアメリカが懸念する「イラン危機」の対応策について「政策調整」を行った。それ以前では、サリバン補佐官と王外相の密談は、2023年5月10~11日にウィーンで、9月16~17日には地中海の島国マルタで、長時間行われている。ウィーンでは中国気球の米本土飛行で悪化した両国関係の修復が、マルタでは2023年11月の米中首脳会談の準備が行われれた。

 

今回は「米中密談」後、米軍は2月2日に米兵3人が死亡した米軍基地攻撃への報復措置としてシリアとイラクの親イラン武装組織へ「抑制された空爆」を実施。その後翌3日、米英両軍がイエメンの反政府武装組織フーシ派の拠点を攻撃した。米軍の報復措置が「背後にいる」イランへの報復をどの程度行うかであったが、攻撃対象を節度あるものとして「シリアとイラクの施設」にとどめ、イラン国内への直接攻撃は控えた。

 

イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃が「行き過ぎ」とバイデン大統領が述べるまでエスカレートし、中東情勢の緊迫度が高まる中、アメリカはイランとの直接軍事衝突を回避すべくその調停を中国に依頼し、中国はイランとイラン側の「レッドライン」を確認し、サリバンに伝えたと考えられる。

 

同じく、中国はフーシ派の「レッドライン」を確認し米軍へ伝達するとともに、それ以上のフーシ派への攻撃を行わなわないように、中国はロシアとイランと地中海で海上合同軍事演習を行う。

 

11月の大統領選挙を間近に控えたバイデン大統領は、ウクライナ戦争、イスラエルとハマス戦争で手一杯のバイデン政権は、台湾問題をめぐる中国との衝突という「三正面作戦」を避けるため中国と手打ちをした。さらには、これ以上の戦域拡大を回避するため「密談」を行っているが、今後は米中の「密談」から米中「協議」と格上げされ、G2体制に移行する可能性が高い。そして、米中2極体制は「もしトラ」で確立するであろう。日本はアメリカの忠実な「下僕」であり続けることで安全を確保しえた時代は終わった。ポスト岸田政権は「もしトラ」で起こる地政学的大転換に備えねばならない。