「もしトラ」で恐喝されるNATO!

 

「もしトラ」で早くもトランプ大統領候補の影響力が発揮された!トランプは「NATO(北大西洋条約機構)が防衛努力をせねばプーチンに攻撃してもらう」と発言。その恐喝にNATO事務総長は「NTOT加盟の18カ国は防衛費目標達成する」と回答した。そればかりでなく、ストルテンベルグNATO事務総長は、「加盟国が十分に拠出していないことについての指摘には、正当なものもある」と発言を肯定した。

 

今年11月の大統領選挙でトランプが大領領に再選される可能性が高まっていることが実証された。大統領選挙前からこれほど影響力を行使した大統領候補者はいない。それだけ「もしトラ」の影響力は絶大だ。

 

事実、NATO加盟国31か国のうち約半分の18カ国が防衛費目標達成する「見通し」であるだけある。しかも、現状では防衛費が国内総生産(GDP)比2%の目標に達している加盟国は11カ国だけでである(2023年7月時点)。

 

NATO規約第5条の「集団防衛」が発動されたのは「2001年の米同時多発テロだけ」であるが、ロシアのNATO諸国への進攻を抑止しているのは米軍の抑止力があることは間違いない。NATO諸国にとり米軍の存在は接待的なのである。つまり、NATOは米国から「捨てられる恐怖」を常に持つため、「もしトラ」の再現は悪夢でもある。一方のトランプ前大統領はNATOの戦争に「巻き込まれる恐怖」がある。

 

トランプは何を狙っているのかー。トランプの基本姿勢は、「自分の国は自分で守れ」とする「アメリカンファースト」である。しかもトランプは根っからのビジネスマンである。防衛費を増やせばアメリカの武器を購入するように圧力をかける。つまりNATO防衛には米国製の武器が必要であり、それをせねばいざ有事の際には米国と一緒に戦えない(インターオペラビリティ)に支障をきたす。これは事実であるが、この状況が強まれば強まるほで、同盟国の米国依存度は強まり、そこから抜け出せなくなる。

 

「もしトラ」で防衛費を増額した同盟国は、今度は米国依存度がさらに強まり次期トランプ政権は武器ビジネス上の徳をするという構図となる。トランプ前米大統領が、防衛費を相応に負担しないNATO加盟国に対し「米国は守らない」と脅したが、それに真っ先に応じた日本。平和憲法がある日本ですらGDP2%はクリアーしているが、米国からの武器購入の継続とさらなる圧力がかかるのは目に見えている。

 

日本の岸田総理の次の総理の最大の課題だ。