ロシアでワグネルのプレゴジンの乱がおこり、プーチン政権の不安定化が言われている。万が一、ロシアの崩壊が起これば世界的に重大な影響がある。我々は、1991年にソ連の崩壊を目の当たりにした。私は中曽根総理のシンクタンク世界平和研究所でソ連の崩壊に備えて日本の戦略を練った。

 まず、ソ連がロシアとCIS諸国に分裂し、ウクライナやベラルーシ、カザフスタンは核保有国となった。ソ連崩壊後の不安定な地域・政治情勢等も重なり、ロシアでの廃棄作業は進展しせず。また独立したばかりのCIS諸国における核物質や放射性廃棄物の管理や防護は、国際基準からかけ離れたものとなり、核不拡散の観点から国際社会にとって深刻な懸念材料となった。さらに、それらの核がテロリストにより強奪される危険性もあった。アメリカをはじめとする欧米諸国の情報機関は相当な措置をとったと聞いている

 今、ロシアが不安定化し、ロシアがフェイルド・ステイツになった場合、これと同じような状況がおこる。

 そのため、6月アメリカのブリンケン国務長官は急遽、北京に飛び、習近平国家主席と会談を持ったのではと推測される。また、7月にはジャネット・イエレン財務長官が北京訪問。ロシアの不安定化に備えた国際金融の調整をするのではなかろうか。

 そのことは、米中間の緊張を緩和することにもなろう。いわゆる戦略的抑制(Strategic Restrain)が両国間に行われている可能性が高い。現に、米中間の貿易取引高は最高に高い。バイデン政権にとっても大統領の年。対中強硬姿勢をくずさない米議会もあり中強硬姿勢はとりながらも、米経済界の要望に応え対経済関係は良好に保つ二重外交をとる。

 日本の岸田政権も総合安全保障の観点にたった経済安全保障政策を展開すべきではなかろうか。