自分のための ... 、これからの風花丸のための ... 、そしてお役に立つかもしれないお一人の方のための、薫風のお話です。】
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『 ゆいまーる 』は、沖縄の言葉で 『 助け合い 』 という意味だそうです。
“ 町の獣医さん ” という外観の、その小さな動物病院に、薫風を連れて行きました。
その動物病院の名前が、『 ゆいまーる 』でした。
ブルーのタイルが貼られた受付と、冬の寒さを忘れてしまう、日当たりの良い待ち合い室。
薫風はとても穏やかで落ち着いていて、居心地が良さそうにリラックスしていたので、とても安心しました。
その先生は、薫風の状態を診て、私の話しを穏やかに聞いてくださる優しい先生でした。
ちなみに先生は、沖縄の出身ではないそうです。
2017年12月。
薫風は18歳6ヵ月。もうすぐ7ヵ月になる頃で、年の暮れ迫る慌ただしい季節。
世間はクリスマスと年末に向けて忙しい時期でした。
「じゃぁ、早い方がいいですね!」
と、先生がすぐに仰った。
えっ...。
年内の手術可能な日は、その週末か、または年末。または年が明けてからにするか...、と。
引き延ばす理由は無いよね。
ずっと願っていた事が呆気ないくらいスムーズに進んでしまう事に、私は戸惑いながら、
「 覚悟をしたのだから、ちゃんと決心したのだから ...。」と、自分に言い聞かせます。
年末年始は休診になってしまうし、術後の不安もあるから、余裕を持って早い日にした方がいいよね...。
その日は月曜日。
手術は金曜日。
( えっ! 今週の金曜日? 早い! 今日は月曜日で、手術は金曜日? 早い!
ずっと悩んで、調べて試して、その繰り返しだったのに、今週? 本当にいいの?
ちゃんと調べて来たんだから大丈夫!
先生が、引き受けてくださったんだから大丈夫!
きっと大丈夫だよ!)
頭の中は大忙しです。
手術する金曜日は、ちょうど薫風が18歳7ヶ月になる日でした。
ご縁があったんだと、思いたい。
全身麻酔なので、ついでに歯石の除去は出来ますか?と聞いてみました。
「せっかくの全身麻酔だから」「ついでの治療」という話を良く聞きます。
日頃から歯石の事も気になっていて、いろいろしていたので、お約束のようにせっかくだから、ついでに聞いてみました。
「いいえ、それは止めましょう!
少しでも麻酔時間を短くして、使う麻酔薬を少量にしたいのです!」
と、きっぱり言われました。
なるほど! 仰る通りです。
先生を信頼出来るかも!
これがラストチャンスだよね!
先生を信頼して、薫風の命を委ねてみよう!
不安はあるに決まってる。
薫風の命がかかってるんだもん。
それに、薫風の事は、ほぼ一人でやってきたから...。
この日だって、私一人で薫風を連れてきたの ...。
頭の中も、心の中も、外から見えない私の部分は、不安で泣きそうです。
目に見える私は、すごく頑張っていたから、落ち着いていて不安なんて微塵も感じない態度でいられたと思う。
じゃないと、薫風はもっと不安になっちゃうもの。
家に帰って、家族に薫風の手術の日を伝えました。
それぞれに、万が一の時の事を覚悟した瞬間です。