2025.04.02@Addis Ababa🇪🇹


所狭しと並ぶなんとも禍々しい仮面や古紙に描かれた肖像画、古めかしい壺の数々。

間違いなく港区や目黒区では手に入らない品々に、待っとけよあの色男、と僕は鼻息を強める。





しばらく店内を見回す中で僕の目を惹いたのは、狭い店内の天井近くに鎮座し、無機質な表情をこちらに向ける二体の木像だった。




あの色男がOKを出すにはいささか大きすぎるようにも見えたが、もうそんなことはどうでも良かった。

僕はとにかく彼らが気に入ったし、帰国後に待っている孤独で寂しい一人暮らしに華を添えてくれること間違いなしだと確信したのだ。


店主に、

「あれが欲しいんだけど」

と伝えると彼は

「お客さんはお目が高いですね。アレは100年以上前のアンティークで、北部の民族の伝統品ですよ。イッヒッヒ」

と告げる。


「2つでいくら?」と尋ねると「150ドルですね。」と答える店主。


「流石に高いっす、100ドルが限界やな。」

とこの旅始まって以来の最高額を提示する僕。

「勘弁してくださいよ、お客さん。それじゃあ利益が出ないですよ。ヒッヒー」

という店主。


「それじゃあ…」と呟いて、不意に色男用のお土産ミッションを思い出した僕は、目に付いた小さめの木像を加えて、「3つで130ドルはどう?」と聞くと

「またお目が高いものを選ばれましたね、お客さん。いいですよ、特別にその値段で譲って差し上げます。イィッヒッヒッヒィー」

と答える店主。


かくして僕は2万円弱の大金を叩いて自分向けの木像二体と申し訳程度の色男向け木像一体を手にしたのだった。