2025.10.23@Mt. Athos
フェリーは半島の内陸部に向かうバスが待つ玄関港ダフニに到着するまでにいくつかの修道院に寄港した。
どの修道院も、海へ張り出すようにして、無数の、無尽蔵の煉瓦を、途方もなく膨大に積み上げては、中心に聳え立つ教会の尖塔を護るべく一つの巨大な城砦を為しており、これは神への祈りの家というよりは、海上要塞都市国家と説明された方がよほど説得力があると思われた。
恐らく船上で唯一の無宗教家である僕、一介の観光客に過ぎぬ僕は、その存在感に圧倒されながら、さすがにお写真をパシャリパシャリとやるのはミーハー・ツーリズムが過ぎるかしら、とそこはかとなく周りを窺っていたところ、皆の衆、撮るわ撮るわの大はしゃぎ、自撮りに他撮りにピースサインにサムズアップ、黒い法衣を纏った神父殿もホーリースマイルで記念撮影ときている。
ならば僕も、と負けじと自慢のFUJIFILMを取り出しては撮影戦争に躍起になっている内にフェリーはダフニへと着岸したのだった。
皆我先にと下船を始めた先には、既に多くの乗り合いバンが待ち構えている。
僕も彼らの流れに乗ってアレヨアレヨという間にくねくねと畝る山道を40分。
ほぼ半島の中心部に位置する首都カリエスに到着する。
ここに暮らすのももちろん見渡す限りのオッサン、オッサンに次ぐオッサンである。
オッサンしか見当たらないことを除けば、眩しい潮風と柔らかな陽光が包む風光明媚な町である。
ここから各修道院へ向かう個別の乗り合いバンへとまた乗り換えてゆくのだ。



