2024.09.29@Lukla→Namche🇳🇵


昨夜早い時間に就寝していたこともあり、5時半頃に目が覚める。窓から外を眺めると実に青々とした空が広がっており、遠く白い頂が朝日に照らされ黄金色に輝いていた。


朝食をさっさと済ませ、弾けるように宿を出発すると、昨日までは全く見えていなかった天を衝くような高峰がすぐそこに聳え立っている。


歩みを進めるごとに、それ一つあれば世界中から100万人が訪れるであろう美しき頂たちが、まるで幼稚園児がおもちゃ箱から放り投げたかのようにそこかしこに転がっている。



その万年雪を抱えた白く輝くピークは、あまりの眩しさに3秒も見つめていると目眩がするほどである。消しゴムなんて生やさしい白さではなく、ビッグボスこと新庄剛志の前歯くらい自然界に存在するには不自然な白さである。

しかし、白くて大きなモノの比喩としてヒマラヤを持ってくるとは流石マーシーである。僕が思いつくのは大根くらいだろうか。大根ほどの消しゴム一つでは、そんなに楽しいことはできなさそうである。


ヒマラヤ散歩をたっぷり堪能し、疲れを感じることもなくあっという間に今日の目的地であるNamche(ナムチェ)に到達する。ナムチェはエベレスト街道のハブとなる最も大きな町であり、これ以降の村では電波も中々入らないと聞く。(そもそもこんなところまで電波が入っていること自体が驚きなのだが)


この町と正対するように聳え立つ6,000m峰コンデ・リを真正面から眺められる丘の上に立つホテルに宿をとることにする。

しかし受付をしていた若い姉妹に案内されたのは、コンデ・リが見えない側の部屋。

「逆側の部屋は空いていないか?」と僕、「逆側ってどういうこと?あなたの言っていることが分からない」と返され、なんで分からないかな…と思いながら「つまり山が見たいんだけど」と伝えると、山を見たいなんて変わった人ねと言わんばかりに姉妹で目を合わせて大笑いしながら「じゃあこの部屋はどう?」と窓からこれ以上ないほどの景色が広がる部屋に案内してくれる。

ここに来る人間は100人中100人が山を見に来ているだろうに、この町のホテルで働いていて、まだ山が見たい人間を面白がれるなんて毎日が最高に楽しいに違いない。