2024.09.08@Agra🇮🇳


地元民に半ばやり捨てされる形となった僕は、宿に帰る道中でアグラ要塞というタージ・マハルと並ぶ観光スポットに寄り道し、こちらもまた節約の為、外から一瞥のみを与え、10時前に宿に到着した。

コルカタ以降、ホストと以前ほどのグッドバイブスを交換できていないと感じていた僕はリフレッシュも兼ねて、インド到着初日ぶりに自分で宿をとっていた。


この宿のオーナーがまたどうしようもなく女好きで、ベッドで休んでいる僕を受付まで呼びつけると、写真と共にこれまで抱いた女自慢を延々と繰り広げるのであった。そのラインナップの人種や年齢、容姿は実に多岐に渡っており、(中には日本人もチラホラ)その守備範囲は全盛期のイチローをも凌ぐかと思われた。

20分ほど彼の話を辛抱強く聞いていたが、その“抱いた女”と名付けられたフォトフォルダはどこまでスクロールしても終わりそうになかったので、もう十分分かったと強引に切り上げて部屋に逃げ込んだ。なぜ男という生き物は自分の性経験をこうもひけらかしたがるのだろうか。


さて、散々女好きへの批判を重ねた後に、首尾不一貫甚だしいと思われるかもしれないが、かくいう僕自身もこの日、Tinderという出会い系アプリで知り合ったインド人の女の子とデートの約束を控えていた。

しかし、これはあくまで文化的交流であり、また、ロマンチックラブ探しである。そこらの女好きと一緒にしてはいけない。女の子とデイトと云うものでもしてみないと本当の地元民の生活を味わったとは言えないという、あくまで高尚な好奇心の上に成り立っているということを理解せねばならない。


ただ、久しぶりのデートに心躍り、好き放題に伸びた髭や髪をセルフバリカンでせっこらせっこらと整えたこともまた事実であった。