前髪をいじりながら教室に入って来た


小5女子。


「ねえねえ、こういちさん」


「ん?」


たっぷり間を置いて


「髪、切ったの。わかる?」


「ん?ああ、わかるよ」


んー、わからん。


まあ、わかると言っておこう。


……


ん?


まだなんか私を見つめてじっと立っている。


真っ直ぐに私を見つめて。


なんか待ってる。


ははーん。


まあ、褒めてほしいんだな。


女子よのう。


「かわいいね」


口元がほころぶ。


私の目をじっと見たまま。


口角が上がって。


にやーっと笑う。


と、口を開いた。


「……きもっ」


え(笑)


理不尽(笑)


「だって、こんなおじさんがこんな女子に向かってかわいいとか、キモいよ(笑)」


すみませんでした。


セクハラでした。


反省しております。


が、何が正解だったのかはわからない


昭和生まれのおじさんでした。