【詩】「あるいは、絶望という名の流星」 | 山下晴代の「そして現代思想」

山下晴代の「そして現代思想」

映画、本、世界の話題から、ヤマシタがチョイスして、現代思想的に考えてみます。
そしてときどき、詩を書きます(笑)。

「あるいは、絶望という名の流星」

「ここから入る者は、あらゆる希望を捨てよ」(ダンテ)

ひとは完全なる無音の部屋に閉じ込められると、気が狂うそうである。
芥川也寸史が『音楽の基礎』で書いていた。
ラカンの顔写真を見ると、
薄っぺらで饒舌な司会者のようだ、蝶ネクタイなんかして。
こんなやつが、むしろシンプルで明快な、ドイツ語で書かれたフロイトのテクストを読んで……
読んだのか? ほんとうに。めちゃくちゃ……
という言葉をNHKアナウンサーでも平気で使うが、
複雑な分析理論(みたいなもの)をでっちあげた、また、
日本語訳がわけわからず、訳者たちもほんとうに
わかっているのかどうか。
ボードレールがフランス語に訳した、ポーの『盗まれた手紙』
をもとにした、しち(=めちゃくちゃ)複雑な
分析を展開しているのが、
『エクリ』である。なんでボードレールは、
ポーなんか訳そうと思ったのか、この、
ナポレオンにどこか似た感じの顔つきの男。
ほら、
絶望という名の星が、
いま流れたよ。