【詩】「The Vulture、ベケットがゲーテをパロる」 | 山下晴代の「そして現代思想」

山下晴代の「そして現代思想」

映画、本、世界の話題から、ヤマシタがチョイスして、現代思想的に考えてみます。
そしてときどき、詩を書きます(笑)。

「The Vulture, ベケットがゲーテをパロる」

 

1777年12月28歳のゲーテはハールツを訪れる

早朝の空に腐肉を求めるvulture(ハゲワシ、高橋康也が訳しているように

禿鷹(ハゲタカ)ではない。ハゲタカは死んだ肉ではなく、

生きた獲物を狙う)が舞っている。

ゲーテはそれを詩にたとえて

寿ぐ154年後、

ベケットは、それを嗤う。当然尊敬しながら

93年後、

日本のあるところで詩人であると思い込んでいる

老人たちが、紋切り型の詩を書き、

ズレまくった考えを披露しあう座談会。

ああ、腐肉にさえなっていないということは、

こういうこと。

つまり、死んでいない。ぎらぎらに生きながらえて

死に値しないと、

死から見放されている。