インテリジェンス機関を持つことに日本は十分成熟しているのか? | 山下晴代の「そして現代思想」

山下晴代の「そして現代思想」

映画、本、世界の話題から、ヤマシタがチョイスして、現代思想的に考えてみます。
そしてときどき、詩を書きます(笑)。

 特定秘密保護法案に関して、まず、私は「なんで今頃?」と思った。その「秘密」は、以下でわかった。
憲法学者、水島朝穂氏のHPである。
http://www.asaho.com/jpn/index.html
その「直言」に以下のようにあった。

 「今回の特定秘密保護法の真の立法者は警察官僚である。法案を作成した内閣情報調査室で最も活発に意見を出したのは、警察庁警備局警備企画課(「チヨダ」という公安警察の司令塔)だった(※リンク先はPDFファイル)。3年前の10月、警視庁公安部外事3課テロ対策担当者の個人情報や、監視対象者や捜査協力者の情報が大量にネット流出したが、この事件が10月に時効になった。これは警察上層部のトラウマとなった。今回実現した「適正評価制度」こそ、全公務員に疑いの眼差しを向け、その監視・統制をはかる最大の武器になり得る。そして、秘密を扱う公務員の「身近にあって対象者の行動に影響を与えうる者」への調査が可能になるため、一般市民やジャーナリストなどに監視を広げていくことも可能となる。秘密があるかどうかも秘密、何が秘密であるかも秘密、秘密を取り扱う人の取り扱い方も秘密ノ。まさに「生まれも育ちも中身も『秘密』に包まれて」というわけである。これは、戦後の内務省解体で警察官僚が失った権限の復権につながるものと言えるだろう。」
 まあ、官僚なんですね、原案を作って、働きかけたのは。それは、「特定秘密保護法案と日本版NSC」というKindle書籍(週刊金曜日刊の、福島みずほが佐藤優にインタビューしたもの)で、佐藤優が訴えていたことと重なる。つまり、日本の政治は官僚のほしいままになりつつあるのである。ただ、その施行までに(最大限)一年あるので、その間に阻止することも、まったく不可能ではないらしいが、場合によっては逆に施行を早められるという可能性もはらんでいる。
 こうした事態に関しては過去の翼賛的国民監視装置と比較され、多くの人々が懸念している。
 アメリカには、大統領のインテリジェンス機関、CIAや、国防総省のインテリジェンス機関、軍のインテリジェンス機関など、さまざまな権力機関がそれぞれの情報組織を持っており、権力争いをしたりするの姿は映画にも描かれている。またかつて権力機関にいた人間が、回顧録などを出版しても、ある情報に関する秘匿は要求されても、犯罪者になることはない。果たして、日本はそういうインテリジェンスの取り扱い機関(とくに、安全保障に関しての情報であるそうだが)を持つことに対して十分成熟しているのかが、私は問題だと思う。
 案外ウィキリークスの活躍に期待してみるのも、対抗の一案かもしれない。




特定秘密保護法案と日本版NSC/佐藤優

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