昨夜、どうしたことか、昔の夫が夢に登場した。
それが若い頃の夫なのだった。

奥さんも子供もいて、もしかすると孫もいるかもしれないというのに、夢に出てきた姿は、若い頃のまま。
こんなことは初めてで、目覚めてから、妙な気持ちになった。

母親が父親の夢をよく見るらしいが、そこに登場するのは、やはり若い父親で。
「お針の先生の所に手紙を持ってきた頃のパパなのよ」と、言う。
求愛行動は早かった父親らしく、そのあたりにも独特の一途さが見える。

そりゃあ、おじいさんになって夢には出てこないと思うよ。疲れちゃってしょうがないでしょ。
と、母親には言ってみるが、これまた意味不明ではある。

そんなことを思い出した。
夢の中では、きっとみんな若いままなのかもしれない。
誰も彼も、みんな夢には若いままで登場するものなのかもしれない。

夢は人の数だけある。
そこに繰り広げられる夢の世界は、本当に時空を超えているのだ。
忘れている人も、会いたい人も、みんなきっと若いまま登場し、去っていく。

そして。
夢から覚めて、自分だけ取り残されたようにボウとしてしまうのだ。