夕ご飯を食べ、後片付けをし、ゴミをまとめ、さて帰るかと思ったら、母親が固まっている。
「お腹が痛い」という。

食事のすぐ後なので、これはもう胃腸関係。
母親はトイレに行く。
なかなか出てこない。

訪問診療の24時間対応部に電話をする。
こういう時のための訪問診療だ。
出てきた先生は、はじめぶっきらぼうで、でも、だんだんと丁寧な対応に変わって行く。
切羽詰まっている患者側とのアレコレは、トラブルなども、きっと多いのだろう。
(事実、父親の時には、ほとんどケンカのようになったこともあった)

今回の医師も、それを警戒しているのだろうが、どうみても命に別状のなさそうな症状を伝えたせいもあって、双方ともに落ち着いて行く。
「水分を摂って、お腹を冷やさぬよう寝てくださいね」
当たり前の指示の、その当たり前さに少し安心する。

母親は、ひどい宵っ張りだ。
ひどい時は空が白々するまで起きているらしい。
起きているといっても、テレビをつけたまま途中寝たり起きたり。
足のむくみもあるのだから横に寝なさいよと、いくら言っても無駄だった。

父親がいなくなって、まさかこんな母親になるとは思わなかった。
何回も怒ったりしたが、諦めた。
「寂しさ」と、本人が言うものに宵っ張りが由来しているなら、もう仕方がない。

そう思っていたが、昨日はさすがに怒った。
寝ることが体調を整えるのだ、一人暮らしというのは自分を律する気持ちがあってこそ、それがなければただの自堕落になるのだと、言い募ってしまった。
(親への説教はほんとに気持ちが落ち込む)

命に別状がなさそうなので、帰宅し、また電話でその後を確認する。
朝に父親、夜に母親。
このひどい暑さと共にやってきた二人の異変。

暑さがよけいにコタエるなあ。