なぜか朝早く出かけねばならない日に、朝から雨が降る。
昨日もそれで、自転車が使えないので、駅まで歩き電車。

だんだんと強くなる雨の中、病院に着く。
ちょうど、父親を乗せたホームの車が入ってきた所で、車椅子に乗った父親を迎える。
こういう時、ホームのお世話になっていて良かったと思う。
付き添いの職員さんもいるので、本当に助かる。

一人で父親を連れ病院通いをしていた頃は、今よりまったく元気だった父親とはいえ、かなり往生した。
もう一人いればと、どれだけ思ったことか。

先だっての入院から、まだ三ヶ月にもならない。
胆管の石は、やはり溜まったままなので、その石の「ご機嫌」によって、顔色(黄疸)が変わる。
それなら熱も出ないうちに、あらかじめ血液サラサラの薬を止めて手術して石をできるだけ取りましょう、とそういうことだ。

また、あんなシンドイことになるのかと、父親が可哀想でならない。
でも、これで最後だからと(ほんとにそれが良いことかどうかもわからないが)父親の手を握る。

また入院手続きをする。
この二ヶ月余りの間に、手続きはより慎重というかめんどくさくなっていて、看護師さんとの面談が増えた。
きっと、それだけ患者側とのアレコレが大変なのだろう。
伝えた伝えない、言った聞いてないなど、どんどん難しくなる医療現場で、書面へのサインはより重要になる。

そういえば、カスタマーセンターなどに気軽な気持ちで電話しても、まず「この電話はお客さまへのサービス向上のため録音させていただきます」という音声が流れる。
どこもかしこも、人間関係は複雑化しているのだ。


先に帰した父親を見送り、全部のことを終え、今度は母親のもとに。
雨がより強くなって、父親をホームに入所させた日を思い出す。
あの時と同じ、悲しい胸焼けがする。

いつまで続くのかなあ。こういうこと。
いやいや、今、目の前のことがすべて。
先のことは、ない。

一日一日、いや、もっと短く。
目の前のことだけ。
これって、人生のパン食い競走みたいだ。

うまく食ってやるぞ。アンパン。