とうとう父親が発熱したと、ホームからの電話。
やっぱり。
これが老人施設の怖さだ。

なんせ誰もが免疫力の低下した老人。
一人がかかれば、その火の収まるまで時間がかかる。

思えば、検温、手の消毒手洗い、面会時間の規制が撤廃されたのが、去年の五月。
コロナ5類への移行時だった。
でも、ウィルスに5類も2類もなく、あるのは、人それぞれの体の事情だ。

「疲れちゃった」と、昨夜父親が自室の外の廊下でへたり込んでいるのが見つけられたそうで。
最近はこの「疲れちゃった」が、多くなっていた。
7月に96歳を迎える人の「疲れ」は、きっと果てしもないのだろうと思う。
70歳になろうとしている娘でさえ、疲れたなあと毎朝ヘエコラしつつ起き上がるのだから、想像しただけで途方もない。

これから検査だというが、おそらく父親はコロナだろう。
こうして、一つ一つの病気が、カラダの力を奪っていく。
自身の病気と闘い、コロナやインフルエンザと闘う。
疲れちゃうのは当然だ。

長生きには長生きの疲れ。
がんばれない疲れ。
かわいそうでならない。

父さん、早く会いたいなあ。