父親のホームから連絡が。
コロナと診断された入居者が出たとのこと。
電話口のスタッフの女性の声が沈んでいる。
あの悪夢のような日々が蘇っているのだ。
もちろん私も。

コロナは、まったくなくなってはいない。
時々、かかっちゃったという話も聞く。
今は平気で公表できるけれど、声を潜めるようにしていた時期も、そんなに遠いことではない。

なので、面会はできなくなった。
一週間も会わずにいると、父が寂しがっているのではという危惧は、以前と比べれば少なくなった。
父親にとっては、「今その時」しかなく、この傾向はどんどん大きくなっているので、逆に娘の心の負担は減った。
これをありがたいと思っていいかどうか。
いや、ありがたいのだ。やっぱり。

父親のホームでは、面会時間は自由で、いつ出入りしても良くなっていた。
それがまた、後戻りするのは残念だが仕方ない。
ったくコロナのやつ。

きっとこの疫病がなくなることはないのだろう。
うまく付き合っていくしかないのだろう。
いったいこれが何だったのか、何なのか、それさえよくわからないけど、仕方がない。

こうして仕方がないことばかり。
がっくりする。

でもまあ、時は過ぎる。
どうしたってこうしたって時は過ぎる。
そう思えば、穏やかな気持ちになる。
なんたって、穏やかが一番。