大阪城ホールは大きかった。
ここでは随分前に一回舞台に立ったことがある。
テレビ番組の収録だったと思う。
歌ったのが淡谷のり子さんの歌で「別れのブルース」だった気がする。
それも、楽器が二つか三つ。
良い経験をした。

母の日を特別に思うこともなかったが、昨日は「母に感謝のコンサート」。
今回で18回になるという。
初めてお声がけいただいたのが、ちょうどコロナの始まりの年。
日本中から笑い声の消えた頃。
当然、延期そして中止。

ご縁がなかったのだと思っていたら、今回参加できた。
森山さん、こうせつさん、秋川さん、由紀さん安田さん姉妹、小椋さん、シークレットゲストに堀内さん、そして初参加の芳雄さんと私。
徹子さんは、今回ビデオ参加されていた。

多勢の合唱団もおられ、毎回満席の人気コンサートは、熱気溢れるものだった。
伴奏メンバーも、弦楽器集団、バンドなど豊かで贅沢。
こういう場所に立てることの幸せを思う。


大阪城の前にたつ両親の写真がある。
2011年春に撮ったもの。
原発事故のあと、情報が錯綜し、とりあえず西にと急かされた。
ここを離れないという両親を説得し新幹線に乗った。
まあ観光旅行だと思ってと、大阪城へ向かったのだが、よく晴れた日なのに、心は虚ろで、結局翌日、東京に戻った。
死んでもいいから家に帰りたい、人はそう思うものなのだ。

あれから13年。
その大阪城のホールで歌っている。
父と母のことを思いながら歌っている。

時は早い。
こんなことも、きっとすぐに遠くなるのだろうか。
風と時を、掌につかむことはできない。
芳雄さんとデュエットした「車輪」の歌詞が浮かぶ。

  
 時は止まらない
 眩しい夢も悲しみも
 巡り巡る車輪に乗せて
 全部昨日に変えていく