秋から冬へと、生姜を食べた。
漬物というかなんというか、ビニール袋に数個が入った生姜を、適当に切って毎朝食べる。
なるべ添加物の少ないものを選ぶ。

生姜ひとかけを、ガリガリと毎朝食べていたら、なんだかちょっと体温が上がった気がする。
風邪もひいていない。

でも不思議なもので、こんなに好きになった生姜なのに、春から夏への空気がやってきてから、急に魅力がなくなってきた。
あんなに好きだったのに。

昨日まであんなに好きだったのに、今日になったら顔も見たくないくらい好きじゃなくなった恋人のような理不尽。
こういうことが若い日にはよくあったが、まさか今頃生姜で思い出すとは。

これじゃああんまりツレナイだろ。
生姜が気の毒だろ。
と、残った生姜をまだ食べる。
あと半分。

全部食べ切って秋までさようなら。
恋も生姜も、さようなら。