今しがた、父親のホームのケアマネさんからの電話。
ホームからの着信は、いつも胸がキュとする。縮む。

父親の退院後、ホームではベッド脇にセンサーをつけてくれているのだが、夜中にはそれが鳴りっぱなしらしい。
足を床に下ろすと鳴る仕組みなので、どうやら父は寝ていないらしい。

転んだら大変なので、車椅子に乗せ、管理室に移動、眠くなったらまたベッドへ、と、介護の方がたには、大変な思いをさせているのだろう。
他の入居者の方々の介助もあるので、いくら仕事とはいえ、申し訳なくありがたく。
でもケアマネさんが心配しているのは、父親のカラダのことだった。

カラダに残ったままの胆石が、やはりナニカシラの悪さをしているのではないか、と言う。
カラダの中に悪い奴がいるんだよ、それと闘わないととお父さまがおっしゃってたんですよとも。

歳に不足はない。
もう96歳だ。
でも、父親はちゃんと生きている。
触るとあったかいし、涙も流す。

これからのことを、会ってお話ししましょうということになった。
そのケアマネさんも、転んで膝をケガしたと。
私も転ぶようになったと言うと。
「クミコさん、もう歳なんですよねえ、私たちも。お年寄りの痛みがやっとわかりました、これまでわかってるようでわからなかったんですよねえ」と深くため息をつく。

本当にそうだ。
そうか、これだったのかというような痛みやら苦しみや悲しみは、自分も老いていってわかるのだなあ。
ニンゲンって、なんとまあ、切ない生き物なんだろう。