母親の入浴介助。
ちょっと前までは、完全に風呂場では一人、本人が好きなように洗って出てくる、それを頃合いを見計らってバスタオルで出迎え拭いた後、風呂場の後片付け、という段取りだった。

それが、徐々に「介入」を始めた。
どう見ても、大変なのだ。
もう一人では何があっても不思議ではない状況。
ただ、どこの家庭でもそうだろうが、問題は本人のプライド。
真っ裸で助けられるなど、プライドが許さない。
それもわかる。
でも、もうそんなこと言ってられない。
できることは、それを踏まえた上で、相手のやり方を尊重しながら、介助をするということ。
決して「ダメ」を言わない。
見守りつつ介助する。
この辺りのことが、だんだんわかってきた。

昨日は、泡のミノンソープを買ってきて、カラダも髪も顔も、これ一つで洗ってみた。
私も石鹸好きだが、老人には泡立てることが難しい。
とにかく早く簡単に綺麗に。
やってみるとやっぱり楽。
手早くことが進んでいく。
「まるで三助だね」と笑い合う。

ところが最後、浴用椅子から立ち上がらせるのに手こずる。
ぎえええ。重い。
そうだ、あれだあれだと思いだした。
父親のホームで入浴介助のスタッフの方が、これいいですよおとチラと後ろ向きに見せてくれたのが、腰のサポートバンド。
そうだった、あれだあれだ。
自宅から持ってこなきゃ。
大汗をかきかき、無事終了。

ああ、気持ちよかったあ。と夕食を前に母親が言う。
これだけで報われる。
でも、まだまだ先は長い。
自分自身を守れないと、母も守れない。
学ぶことは多い。
学ぶことばかり。

正直、シンドいなあと思うこともあるけど、きっとすべて無駄にならない。
と思いたい。
うん、ナニゴトも修行です。