日曜の朝には、習慣のように見ていた「サンデーモーニング」。
以前はたしか、「関口宏の」という冠がついていたと思う。
その関口さんが今日で終わり。
80歳だという。
80歳は突然やってきたわけではなく、毎週毎週気づかぬうちに80歳は忍び寄ってきたのだなあ。
最終回の今日は、これまでの短い映像も流れて、そこには世界そして日本の激動が映っていた。
それだけで胸は熱くなる。
ああ、こんなにして、こんなふうに、人は生き続ける、懸命にその時を生き続けるのだなあ。
(生きたくても生きられないガザの子供の映像も出てきて、苦しくなる)

関口さんの奥さまは西田佐知子さん。
とにかく素敵な歌い手さんだった。
まったくビブラートのない低い声。
どこか虚無的で、代表曲「アカシアの雨がやむとき」は、60年安保と重なった「時代の歌」でもあった。
私が初めてレパートリーにした歌謡曲でもある。
雨の季節の前に、また歌いたくなる。
まぎれもない日本の名歌だ。

先だって、記者のとくだん失礼でもない質問に「誰だって歳をとるんだ、お前だってそうだ、ばかやろう」と言った政治家は85歳。
目つきや様相に見覚えがあった。
父親がこんなふうになった日々があった。
認知症の初期といってもいい。
なんでこんなことでこんなに怒るんだろう。
そんな日々があった。

人は自分ではその衰えがわからない、認めたくない。
どこで身を引くか、その難しさは、いつもある。
自分のことを客観的に見られるうち、そして信頼できる周囲の人を持ち、その進言に耳を傾けること。
傾けられる自分であること。

関口さんは、良い時を選んだのだろう。