レコーディング終わり。
これまで歌ってきたものの再録三曲と新たに二曲。
再録では、詞が違っているものもあって、同じ作者なのにと、詩人としての移ろいや苦悩がわかる。

久しぶりのミュージシャンにも会え「お義父さまはお元気ですか」と尋ねると、とっくに亡くなっていた。
そのお義父さまには、以前地方のコンサートでお世話になったことがあった。
これからもよろしくとお別れしたのに、人の命ははかない。
まだ70代だったと聞き、身が引き締まる。
そうだ、私自身だって、いつ何時この世からサヨナラしないとも限らないのだ。

歌っている言葉たちには、今だから歌えるものが多い。
過ぎていく時間、失われるもの。
歌っているうち、すべてが蜃気楼のように思えてくる。
歌って表現したいものも、ひるがえって、生きていることそのものも、みんな幻のようだ。

これから、こんな感情と闘いながら、いや、添いながら、歌っていくのだろう。
虚しいけど、楽しむ。
虚しいから、楽しむ。

歌があって良かったと、昨日も思った。
どんな時も、唇に歌があれば。心に歌があれば。
なんとか歩いていける。

リリースは7月だそうで。
また暑い夏の盛りでしょうか。