毎年サントリーホールで行われる「全音楽界による音楽会」3•11チャリティーコンサート。
今年で11回になった。
(本当なら12回なのだがコロナで一回お休み)

発起人の代表とでもいえる三枝成彰さんが、東日本大震災で被災した子供たちの将来を案じて、その年に生まれた子供が二十歳になるまで援助をすると言われた時、このコンサートにお誘いくださった湯川さん、コシノさん、林真理子さんら発起人の皆さま、そして私自身も、まだそれぞれが若かったなあと感慨深かった。
大震災からもう13年が過ぎていたのだ。

昨日、本番前に、発起人の皆さまと、指揮者のお二人、演者の数人が囲み取材を受けた。
私ごときが加えていただくのは畏れ多いのだが参加。
皆さんのお話をうかがいながら、未来を担う若者への援助をするという志に、胸が熱くなる。

このコンサートは、もちろん出演者関係者全員、サントリーホールも、プレイガイドも、まったく無償なのだ。
どこにも「商売」は派生していない。
そのことに、今更ながら感動してしまう。

今流行りの「中抜き」など一切なし。
来てくださったお客さまの、料金ではなくお志の寄付金全額が、そのまま子供たちに届く。

発起人の先輩方の、世代を繋ぐという使命感に、今年はさらに感動した。
それぞれが労苦の多い中、それでも続ける覚悟に感動した。
自分のことだけでアタフタ精一杯なのに、大きな視点を持つことの素晴らしさ。
足を悪くされ、椅子に座る三枝さんの背中を拝見しながら、人は人によって生かされることを確信した。
善意などと、言ってしまうと短い言葉だが、これほど重く、でも尊いものはない。

そうそう。
この奨学金で、公立の医学部に合格した子供がいるという知らせに、みんな喜びました。
ああ、良かった。ああ、良かった。