先だってコンサートでご一緒したドリアンさんが結婚された。
リハーサルの時に、そのことは聞いていたが、コンサートの日にもパートナーのかたがいらしていてご挨拶した。

結婚届けにはドリアンさんが夫になっている。
紆余曲折、いろいろなことのある人生を、二人の舟で共に漕ぎ出すのだ。
素敵だ。

私も一回結婚をした。
で、一回離婚もした。
婚姻届けは二人で。
離婚届けは一人で。

離婚届けでは、あ、これ知っておくべきだったと思うこともあった。
戸籍の筆頭者になるかならないかということで。
離婚してそのまま夫の姓を名乗り新しい戸籍筆頭者となることもできるし、元の姓、つまり親元に戻ることもできる。
この選択を、区役所であれれと戸惑いながら、した。
私は元に戻ったが、その後で、ちょっと後悔した。
その頃は、夫の姓で歌っていたからだ。
まあ、今となっては、すべてどうでもいいのだが、案外と知らない大切なことってあるものだ。

結婚というカタチはどうでも、今のこの国では、便利なことが多い。
金銭的なこともあるが、切実なのは、たとえば手術を受ける時などの身元保証人とでもいうのか、そういったサインが必要な時。
以前、緊急で友人が手術の時は、とりあえず私が代行したが、すぐに身内のかたが来られた。

私のように、老親しかいない先細り感満載の人間の場合は、なんだか心細い。
なんでもいいから、これからのため、結婚をしておこうかと思ったりする。
そこに夢風船が飛ぶようなロマンはなく、ただこれから起こる面倒をうまく回避するための手段といってもいい。

生まれるのも生きるのも死ぬのも、なかなか大変なことだなあ。
「はい、これで一丁上がりっ」と、うまくサヨナラしたいものだがなあ。